サブリースの手数料相場を解説!一般管理契約と比較「安いのは?」

収益アップ

サブリース契約は、賃貸物件を有効活用する選択肢の一つとして、不動産オーナーから長年注目され続けてきました。

しかし、その実態は必ずしもオーナーにとって有利な契約であるとは限らず、一般管理委託よりも収入が少なくなることが考えられます。

賃貸オーナーは、サブリース契約と一般管理委託のどちらを選べば収益を最大化できるのでしょうか。

本記事では、サブリース契約の手数料相場オーナーが負担する費用一般管理委託との比較について詳しく解説します。

1.サブリース契約とは

サブリース契約とは、オーナーから物件を借り上げたサブリース会社が第三者に転貸する契約です。

オーナーはサブリース会社と賃貸借契約を結び、転貸先である借主が支払った家賃から手数料を引いた額を賃料収入として得ます。

サブリース会社とオーナーの間で結ぶ賃貸借契約は、厳密にはマスターリース契約と呼びます。

サブリースとは、入居者とサブリース会社間で結ばれる契約のことです。

しかし、マスターリース契約を結んだ物件を管理・運営することが前提であるため、借り上げから転貸までの一連の流れを指してサブリースと呼ぶことがあります。

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2.サブリース契約にかかる費用

サブリース契約では、物件の管理・運営にさまざま費用がかかります。

手数料以外にも費用負担が発生するケースがあることを知っておきましょう。

1)サブリース会社に支払う手数料相場

サブリース会社は、借り上げた物件の想定賃料の20%前後をサブリース手数料として差し引き、残額を保証料(家賃)としてオーナーへ支払います。

家賃10万円×10戸の物件を手数料15%で管理している場合

10万円 × 10戸 × 0.15 = 15万円(手数料)

10万円 × 10戸 – 15万円 = 85万円(保証料)

この手数料率は、物件の立地や規模、築年数などによって変動します。

都心の新築マンションのような高い入居率が期待できる物件であれば15~20%郊外の築古アパートであれば25%以上というように設定されます。

ただし、実際の契約ではさまざまな条件を踏まえた交渉によって手数料率が決められるため、古い物件は必ず高くなるということはありません。

2)オーナーが負担する手数料以外の費用

サブリース契約は、一見すると家賃保証があるため賃貸経営が安定するように思えます。

しかし、以下のような手数料以外の費用もかかり、これが収支をひっ迫する要因となることも。

修繕費 建物の外壁塗装や屋上防水工事などの修繕費用は通常オーナーの負担
設備更新費 エアコンや給湯器などの設備の更新費用は通常オーナーが負担
固定資産税・都市計画税 不動産の所有者が負担する税金はオーナーが納税
火災保険料 建物にかかる火災保険料は所有者であるオーナーが支払う
ローン返済 物件購入時のローンがある場合、その返済はオーナーの責任

これらの費用は、サブリース会社から受け取る家賃収入から差し引かれることになるため、実質的な収益を圧迫する要因となります。

3.サブリースのメリット・デメリット

サブリース契約にはメリットとデメリットがそれぞれ存在します。

代表的なメリットが「家賃収入の安定化」です。

サブリース期間中は入居率に関係なく一定の家賃収入が保証されますので、長期的な収益計画を立てやすくなります。

また、オーナーは空室リスクや管理コストを考えなくてもいいため、労力および精神的な面の負担を軽減しやすくなるでしょう。

一方で、高い手数料率をサブリース契約のデメリットと感じるオーナーも多いようです。

 

一般的にサブリースの手数料率は一般管理委託の2倍以上に設定されますので、思ったよりも家賃収入が入ってこないと感じるかもしれません。

また、サブリース契約の多くは法律上の借主になるサブリース会社に有利な形になるため、解約時に多額の違約金が必要になるなど、金銭的な負担が大きくなる可能性も。

オーナーに利益をもたらす反面、所有物件を自由に扱えなくなる不利な条件が含まれるケースも多く、契約前に十分な検討を行う必要があるでしょう。

4.サブリースと一般管理委託の違い

前述の通り、サブリース契約には多くのメリットがある一方、意識しておかなければならないデメリットもあります。

物件によっては一般管理委託契約のほうが利益を出せる場合がありますので、契約条件や市場を踏まえた比較検討を行い、管理委託の方法を検討しましょう。

サブリースと一般管理委託の違いは以下の通りです。

一般管理委託 サブリース
入居者の契約相手 オーナー サブリース会社
家賃保証 なし あり
管理手数料 入居中物件の家賃5~10% 満室時の総家賃20%前後
家賃管理 管理会社による サブリース会社
礼金・更新料の支払先 オーナー サブリース会社
入居者募集 仲介会社 サブリース会社

物件管理

管理会社による サブリース会社
トラブル対応 管理会社による サブリース会社
リフォーム費用負担 オーナー オーナー

 

サブリース契約は、借り上げた物件の管理全般をサブリース会社が請け負い、オーナーに手数料を支払う管理委託契約の一種です。

手数料は一般管理委託よりも高めに設定されるのが一般的ですが、オーナーは管理業務のほぼ全てをサブリース会社に任せることができます。

また、オーナーは空室率に関わらず満室分の家賃を受け取れますが、手数料が高いため家賃収入の頭打ちは早めです。

また、入居者が支払う礼金や更新料はサブリース会社の収入として扱われます。

 

一般管理委託は、オーナーに代わって管理会社が物件の管理全般を請け負う管理委託契約です。

入居者が入っている物件の家賃のうち5~10%程度の管理手数料が発生します。

家賃保証がないため入居率が下がるとオーナーの家賃収入も少なくなりますが、支払う管理手数料はサブリース契約に比べて低額のため、比較的高い家賃収入を得られます。

また、管理手数料や礼金がオーナーに入るため、トータル収入は大きくなるでしょう。

5.サブリースと一般管理委託の収益シミュレーション

では、サブリースと一般管理委託はそれぞれどの程度の収益が見込めるのでしょうか。

同一条件の物件でそれぞれの管理委託をおこなった場合の収益をシミュレーションしてみましょう。

シミュレーション物件

物件:1Kアパート10室

想定家賃:1室あたり月額6万円

 

では、サブリースの手数料25%一般管理委託の手数料7%の場合にオーナーが手にできる年間の収益を比較します。

サブリース契約の場合

手数料率:25%

月額収入:60,000円 × 10室 × (1 – 0.25) = 450,000円

年間収入:450,000円 × 12ヶ月 = 5,400,000円

 

一般管理委託契約(入居率100%)の場合

手数料率:7%

月額収入:60,000円 × 10室 × (1 – 0.07) = 558,000円

年間収入:558,000円 × 12ヶ月 = 6,696,000円

年間の入居率が100%であった場合、サブリースよりも一般管理委託のほうが130万円ほど多くの収入を得られる計算となります。

しかし、一般管理委託は家賃保証がありませんので、入居率が下がれば家賃収入も減少します。

では一般管理委託契約の条件は同様のまま、入居率が90%と80%の場合の収入を比較します。

一般管理委託契約(入居率90%)の場合

手数料率:7%

月額収入:60,000円 × 10室 × (1 – 0.07) × 0.8 = 502,200円

年間収入:502,200円 × 12ヶ月 =6,026,400円

 

一般管理委託契約(入居率80%)の場合

手数料率:7%

月額収入:60,000円 × 10室 × (1 – 0.07) × 0.8 = 446,400円

年間収入:446,400円 × 12ヶ月 = 5,356,800円

このように、一般管理委託で入居率が10%下がると、年間約70万円の減収となります。

また、入居率80%ではサブリースと同水準の収入になることも分かりました。

そのため、一般管理委託では入居率を低下させない空室対策が重要であるといえるでしょう。

まとめ

サブリース契約は、安定した家賃収入の獲得と対応コスト削減を図れる管理委託方法です。

空室率にかかわらず満室分の家賃収入を得られるため、一定の収入を得続けたいオーナーにとっては大きなメリットがあります。

一方、一般管理委託は家賃保証こそありませんが、満室に近づくほどサブリースよりも高額の家賃収入を得やすくなります。

委託先によっては一部の管理業務をオーナーが対応する必要はありますが、その分管理費を抑えやすくなりますので、家賃収入の最大化を目指すオーナーに適した管理委託方法であるといえるでしょう。

どちらも一長一短の特徴がありますので、目先のメリット・デメリットにとらわれずに、理想の管理を実現できる委託方法を検討しましょう。

 

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監修者
吉田 佳祐【株式会社ランドネット】
吉田 佳祐【株式会社ランドネット】
賃貸仲介と管理の両方を知る在籍10年超のベテラン!入居中のトラブルや滞納のお悩みなどあらゆる難題に手腕を発揮。【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・損害保険募集人一般【不動産業界歴】15年

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