自宅を賃貸にする方法は?手順や税金、住宅ローンの注意点も解説
貸したい

本記事では、自宅を賃貸に出す場合について、手順、税金、ランニングコスト、住宅ローンの注意点などを解説します。
目次
1.自宅を賃貸に出すことは可能?
結論、自宅を賃貸に出すことは可能です。
実際、転勤や住み替えを機に自宅を賃貸に出すケースも少なくありません。
自宅を入居者に貸し出すことで家賃収入が得られます。
また、賃貸経営にかかった費用は経費計上でき、節税効果も期待できます。
しかし、住宅ローンがある場合や、マンション管理規約に「賃貸禁止」の条項がある場合は、賃貸に出すことが難しく、事前にローン返済状況や契約書を確認しておく必要があります。
2.自宅を賃貸に出す手順
自宅を賃貸に出す手順を解説します。
1)不動産管理会社に賃料査定を依頼する
まずは不動産管理会社に賃料査定を依頼しましょう。
自宅をいくらで貸せるのか、賃料目安を確認することができます。
都内や都市部の駅近であれば賃貸需要が高く、想像以上の賃料で貸し出せるかもしれません。
一方、築古や立地が悪い自宅は賃料が安くなり、入居者が付きづらいケースも。
そもそも、自宅を賃貸に出すメリットはあるのか、1社だけでなく複数の不動産管理会社に聞いてみましょう。
2)入居者募集の条件を決める
次に、入居者募集の条件を決めます。
入居者募集の条件とは、家賃、敷金礼金の有無、ペット飼育の可否などです。
他にも、どれくらい賃貸として貸し出すかという契約期間の条件もあります。
転勤などで一時的に貸し出す場合は、定期借家契約を利用すれば、貸出期間を限定できるため、オーナーは将来自宅に戻ることが可能です。
一方、普通借家契約の物件とすれば、入居者が契約更新することができ、オーナーは賃貸として長く自宅を貸し出すことができます。
3)管理会社を確定する
自宅の賃貸管理を任せる管理会社を確定しましょう。
賃貸管理とは、マンション・アパート・戸建などの賃貸経営に必要な業務のこと。
入居者募集・家賃集金・クレーム対応・退去後の原状回復工事といった業務があります。
オーナーは管理会社に賃貸管理を任せることができますが、家賃の5%ほどの管理手数料がかかります。
しかし、煩雑な業務から解放されるほか、遠方にいながら賃貸経営が可能になるため、管理会社を利用するメリットは大いにあるでしょう。
また、手数料の金額や賃貸管理の業務内容は、管理会社ごとに異なるため、複数社を比較検討して委託先を決めるのが賢明です。
4)入居者募集・内見・契約を行う
管理会社が決まれば、いよいよ入居者の募集活動です。
管理会社がSUUMOなどのポータルサイトに物件広告を掲載。
広告を見た人が内見に訪れ、実際の部屋を気に入ってもらえれば成約となります。
入居の決め手になるのは、家賃や立地の良さはもちろん、外観の見た目や室内の清潔感です。
立地はどうすることもできませんが、適切な家賃設定、見た目や清潔感はオーナー次第で対策ができます。
管理会社と相談しながら、入居者を獲得するために必要なことを考え実行しましょう。
5)契約終了後は退去精算を行う
賃貸借契約が終了したら、退去精算を行います。
その後、入居者が退去したら、原状回復工事やクリーニングを済ませて、新たな入居者を募集します。
再募集せずにオーナーが自宅に戻ることも可能です。
3.賃貸に出して満室になる自宅の特徴
入居者に選ばれる物件とは?
その特徴を解説します。
1)相場にあった適正な家賃設定
入居者に選ばれる物件は、家賃設定が適正です。
エリアの相場や物件の状態を考慮せず家賃設定を行うと、相場より高くなり、敬遠される可能性があります。
そのため、類似物件の家賃相場を調べて適正な家賃を設定することが大切です。
また、敷金礼金の有無や金額も相場にあわせることで、入居者が決まりやすくなるでしょう。
2)清掃とメンテナンスで清潔
古く汚れた建物は内見者に敬遠されます。
そのため、定期清掃やメンテナンスをすることが重要です。
室内は当然ですが、戸建であれば庭や玄関アプローチ、アパート・マンションの場合は共用部の階段、廊下、エントランスまで広範囲にわたり清掃する必要があります。
また、古さを目立たなくするためには、壁紙や床材の張り替えといった簡易リフォームも効果的です。
清潔で整備された印象があれば、内見者も部屋を気に入ってくれるでしょう。
3)入居者ターゲットが明確
入居者ターゲットは物件ごとに異なります。
賃貸の入居者は、単身者とファミリーに大きく分けられ、1R〜1Kなら単身者、2LDK〜3LDKならファミリーがターゲットになります。
単身者に喜ばれる物件は、駅近、インターネット無料、家具・家電付きなど。
一方、学校や公園が近く、駐車場付き、防犯設備が充実している物件はファミリーに適しています。
自宅を賃貸に出す際は、これらの点をふまえターゲットを明確にすることで、入居者募集がスムーズになるでしょう。
4)入居条件の緩和
入居条件の緩和が成約を左右します。
例えば、ペット飼育の承諾、家賃を一定期間無料にするフリーレントの設定、敷金礼金の廃止といった条件の緩和です。
入居のハードルが下がり、成約率が高くなる可能性があります。
4.自宅を賃貸に出す場合のランニングコスト
自宅を賃貸に出して賃貸経営を始める場合、主に以下のランニングコスト(継続的に発生する費用)が発生します。
- 管理費:5000円(家賃の5%)
- 修繕積立金:月5,000~1万円
- 火災保険:月2,000~3,000円相当
ランニングコストとして毎月12,000〜18,000円が発生します。
割合にして家賃の1〜2割ほどです。
他にも、入居者募集時の広告費(AD:家賃1〜2ヵ月分)、税金、ローン返済金なども定期的な費用として発生することを覚えておきましょう。
5.自宅を賃貸に出す場合の税金について
自宅を賃貸に出す場合も、税金は発生します。
- 所得税
- 住民税
- 固定資産税
- 都市計画税
1)所得税
家賃収入は「不動産所得」として、所得税の課税対象になります。
不動産所得は次の式で計算されます。
総収入金額(家賃収入など)-必要経費
総収入金額
- 家賃
- 共益費
- 礼金など
必要経費
- 固定資産税
- 火災保険料
- 修繕費
- 管理費
- 減価償却費
- 借入金の利息
所得に応じて、税率と控除額が変わってきます。
必要経費として計上できるものを適切に管理し、節税につなげましょう。
また、家賃収入が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。
2)住民税
住民税は以下の計算式で求められます。
課税所得×税率10%+均等割5,000円
※均等割は自治体で異なる場合があります。
3)固定資産税、都市計画税
持ち家でも、自宅を貸し出しても、固定資産税と都市計画税が掛かります。
課税標準額×1.4%
課税標準額×0.3%
4)税金シミュレーション
所得税・住民税・固定資産税・都市計画税など、自宅を賃貸に出した場合の税金を計算してみましょう。
5)自宅を賃貸に出した場合のシミュレーション
課税標準額:2000万円
年間家賃収入:120万円
必要経費:58万円
- 固定資産税:28万円(課税標準額2000万円×税率1.4%)
- 都市計画税:6万円(課税標準額2000万円×税率0.3%)
- 管理費:6万円(家賃の5%)
- 修繕費:10万円
- 火災保険料3万円
- その他経費5万円
不動産所得:62万円(年間家賃収入120万円-必要経費58万円)
所得税率:5%(課税所得195万円以下の場合)
課税所得金額(円) | 税率 | 控除額(円) |
~1,950,000 | 5% | 0 |
1,950,001~3,300,000
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3,300,001~6,950,000
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6,950,001~9,000,000
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9,000,001~18,000,000
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18,000,001~40,000,000
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40,000,001~
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所得税:3.1万円(不動産所得62万円×5%)
住民税:6.7万円(【不動産所得62万円×10%】+均等割5,000円)
6)給与所得を考慮したシミュレーション
会社員の場合、給与所得と不動産所得を合算して課税所得を計算します。
合算後、各種控除が適用されます。
会社員:年収500万円の場合
給与所得控除:144万円(年収500万円×20%+44万円)
給与等の収入金額(円)
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~1,625,000
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1,625,001~1,800,000
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1,800,001~3,600,000
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3,600,001~6,600,000
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6,600,001~8,500,000
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8,500,001~
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課税対象の給与所得:356万円(年収500万円-給与所得控除144万円)
総所得金額:418万円(課税対象の給与所得356万円+不動産所得62万円)
課税所得:370万円(総所得金額418万円-基礎控除48万円)
所得税:312,500円(課税所得370万円×税率20%-控除額427,500円)
住民税:37.5万円(【課税所得370万円×10%】+均等割5,000円)
6.自宅を賃貸に出すメリット4つ
自宅を賃貸に出すメリットを4つ解説します。
1)家賃収入が得られる
自宅を賃貸に出すことで、家賃収入が得られます。
家賃収入はローン返済や不動産の所有にともなうランニングコストの支払いに充てることが可能です。
自宅を空けていても、固定資産税など税金の支払いからは逃れられません。
それならば、賃貸として活用し、家賃収入を得ながら資産運用するほうが賢明なのです。
2)建物の劣化を抑制できる
マンションなどの建物は、放置していると劣化が進みます。
人が住んでいれば、換気や掃除が行われるため、カビや湿気の対策につながります。
住居として使用されているほうが、建物としての資産価値を維持しやすくなるのです。
3)税金対策、節税効果がある
賃貸経営にかかる費用は必要経費として、税金の控除対象になります。
- 固定資産税、都市計画税
- 火災保険料、地震保険料
- 修繕・リフォーム費用
- 減価償却費
- 管理費・修繕積立金
- 管理手数料
- 住宅を購入した際の借入金の利息分
※ローンの元本返済部分は経費計上できません
4)再び住むことも可能
自宅を賃貸に出しても、再び自宅に住むことが可能です。
「定期借家契約」を入居者と締結することで、貸し出す期間を定められるほか、更新のない契約とすることができます。
転勤などで一時的に自宅を離れ、将来的に戻る可能性が高い場合は、定期借家契約で自宅を貸し出すことも手段としては有効でしょう。
7.自宅を賃貸に出すデメリット4つ
自宅を賃貸に出した場合のデメリットを4つ解説します。
1)手間とコストがかかる
自宅を賃貸に出した場合、賃貸管理の手間とコストがかかります。
- 入居者募集
- 家賃回収
- トラブル対応
- 設備故障への対応
- 契約・更新・解約の手続き
- 修繕の手配
- 清掃
これらをオーナーが自主管理で対応するのは、時間と労力を要します。
そのため、不動産管理会社を利用するのが賢明です。
家賃の5%相当を手数料として払うことになりますが、煩雑な賃貸管理を一手に引き受けてくれます。
自宅を賃貸に出した場合のデメリットを解消してくれる手段だと言えるでしょう。
2)家賃滞納やクレームなどトラブルが起こりえる
自宅を賃貸に出すことで家賃収入が得られますが、入居者が家賃を滞納する可能性もあります。
この場合、督促の手間がかかるほか、家賃を回収できない事態になるケースも。
また、入居者の生活音が大きければ、階下や隣人からの騒音クレームに発展し、こうなるとオーナーは入居者に注意しなければなりません。
このように、賃貸トラブルの発生リスクがあることも考慮しておきましょう。
3)部屋を雑に使われるかもしれない
建物は人が住むことで換気や清掃が行われ、状態が維持されます。
しかし、自宅を貸し出す場合、入居者が部屋を雑に使う可能性も否めません。
掃除を怠ったために水回りがカビだらけになったり、喫煙で壁紙が黄ばんだりと、自宅が悲惨な状態になる恐れも。
修繕費は入居者に過失がある場合、オーナーの負担とはなりませんが、それよりも自宅を雑に扱われるショックは拭いきれないものです。
4)空室で家賃収入が得られない可能性も
自宅を賃貸に出す場合、そもそも物件の賃貸需要がなければ、入居者が決まらず家賃収入を得ることはできません。
賃貸需要は、物件の立地、間取、家賃、築年数などで決まります。
リフォームや家賃を下げることで賃貸需要が上がり、空室が埋まるケースも。
しかし、不動産は立地が原因で空室が続いている場合、手の施しようがありません。
まずは管理会社に相談し、自宅の賃貸需要がどれくらいあるのか、確認しておきましょう。
8.自宅を賃貸に出すべきケース
自宅を賃貸に出すか迷っている人も少なくないでしょう。
以下に該当する場合、自宅を賃貸に出した方が良いかもしれません。
- 一時的に住まなくなるが、将来的に戻る予定がある
- ローン返済や税金の支払いに充てる家賃収入を得たい
- 好立地かつ築浅など自宅の賃貸需要が高い
- 売却価格が思ったより高くない
- 老後の収入源を確保したい
上記のケースは、賃貸経営がうまくいく可能性が高いかもしれません。
9.自宅を賃貸に出すべきではないケース
一方、自宅を賃貸に出すべきではないケースは以下になります。
- 1年以内に戻るかもしれない
- 立地が悪く賃貸需要が低い
- 貸し出すためのリフォーム修繕費が高額
- 心理的・感情的に他人に貸したくない
- 近い将来、売却を計画している
上記の場合は、そのまま住み続けるか、売却を検討した方が賢明です。
賃貸経営や売却で不明点があれば、不動産管理会社に相談してみましょう。
賃貸時の家賃収入や売却益のシミュレーションができ、比較検討に役立ちます。
10.住宅ローン返済中の注意点
自宅を賃貸に出す際に住宅ローンを返済している場合、注意が必要です。
1)住宅ローンのまま賃貸に出すと契約違反に!?
住宅ローンは「自らが居住すること」を条件に貸付されているケースが多く、賃貸に出すことで契約違反とみなされる場合があります。
それでも自宅を賃貸に出す場合、以下の対策が必要です。
金融機関に事前相談
賃貸に出す理由を説明し、住宅ローンのまま賃貸にできるか確認しましょう。
正当な理由がある場合、金融機関によっては賃貸利用を認めるケースもあるようです。
投資用ローンに借り換え
賃貸に出す場合、住宅ローンから投資用ローンに借り換える必要がある場合も。
投資用ローンは金利が高いため、賃貸にした場合の収支計画をしっかり立てましょう。
2)住宅ローン控除が適用外になる
住宅ローン控除が適用されるのは、自らが住むための居住用の住宅です。
自宅を賃貸に出す場合、居住用ではなくなるため、適用外になります。
ただ、再び自宅に戻り居住用として利用する際に住宅ローン控除の残存期間がある場合、確定申告で住宅ローン控除の適用を申請すれば、再適用となることがあります。
詳しくは、税理士に相談しましょう。
まとめ
自宅を賃貸に出すことは家賃収入や節税など多くのメリットがありますが、管理コストやトラブルリスク、税金への影響も伴います。
賃貸経営に関するシミュレーションや専門家への相談を行い、収支計画を明確にした上で賢明な選択を心がけましょう。
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