【総務省】空き家・単身高齢者ともに過去最多!賃貸市況2025
賃貸市況

少子高齢化にともない、住宅市場が変化しています。
とくに高齢者向け住宅へのニーズが大きく変わりつつあるようです。
本記事では、総務省が発表した「令和5年住宅・土地統計調査」の賃貸物件関連の情報から、最新の賃貸住宅市況を解説。
そして、高齢化社会で賃貸需要が拡大しつつある高齢者向け住宅の動向を読み解きます。
目次
1.総住宅数と総世帯数
住宅の建築や解体、建て替えや人口の変動に伴い、住宅数および世帯数は常に変動しています。
それぞれどのような変動を見せているのか、総務省「令和5年住宅・土地統計調査」のデータから見てみましょう。
1)総住宅数は増加もペース緩やかに
総住宅数(千戸) | 5年間の増減率 | |
1988 | 42,007 | 8.8% |
1993 | 45,879 | 8.8% |
1998 | 50,246 | 9.5% |
2003 | 53,891 | 7.3% |
2008 | 57,586 | 6.9% |
2013 | 60,629 | 5.3% |
2018 | 62,407 | 2.9% |
2023 | 65,047 | 4.2% |
引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
一貫して緩やかに増加する住宅数に対し、増減率は1998年頃を起点に低減しています。
この背景には、人口減少や社会課題化している空き家問題があると推察されます。
近年、建築工事費が高騰しているほか、空き家を利活用する機運も上昇。
新築と同時に、古い建物をリフォームするケースも増えているかもしれません。
2)世帯数の増減率も低減
総世帯数(千世帯) | 5年間の増減率 | |
1988 | 37,812 | 7.4% |
1993 | 41,159 | 8.9% |
1998 | 44,360 | 7.8% |
2003 | 47,255 | 6.5% |
2008 | 49,973 | 5.8% |
2013 | 52,453 | 5.0% |
2018 | 54,001 | 3.0% |
2023 | 56,215 | 4.1% |
引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
日本の人口は2008年をピークに減少に転じましたが、世帯数はいまだ増加を続けています。
人口減にもかかわらず世帯数が伸びている理由は、単身世帯が増加しているためです。
とはいえ、世帯数の増減率は住宅数と同様に、減少傾向にあります。
2.居住世帯のある住宅のうち、持ち家と借家の割合
居住世帯のある住宅数(千戸) |
持ち家(千戸) |
借家(千戸) | 借家率 | |
1993 | 40,773 | 24,376 | 15,691 | 38.5% |
1998 | 43,922 | 26,468 | 16,730 | 38.1% |
2003 | 46,863 | 28,666 | 17,166 | 36.6% |
2008 | 49,598 | 30,316 | 17,770 | 35.8% |
2013 | 52,102 | 32,166 | 18,519 | 35.5% |
2018 | 53,616 | 32,802 | 19,065 | 35.6% |
2023 | 55,665 | 33,876 | 19,462 | 35.0% |
引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
居住世帯のある住宅のうち、借家の割合は緩やかに下降しながら35%前後で推移しています。
一方で、借家は年々増加を続けているものの、持ち家よりも緩やかなペースを保っていることから、新たに建築される住宅の多くは持ち家として建築されていることがわかります。
3.空き家のうちの賃貸物件の割合
空き家の総数(千戸) | 賃貸用の空き家(千戸) | 賃貸用の割合 | |
1988 | 3,940 | 2,336 | 59.3% |
1993 | 4,476 | 2,619 | 58.5% |
1998 | 5,764 | 3,520 | 61.1% |
2003 | 6,593 | 3,675 | 55.7% |
2008 | 7,568 | 4,127 | 54.5% |
2013 | 8,196 | 4,292 | 52.4% |
2018 | 8,489 | 4,327 | 51.0% |
2023 | 9,002 | 4,436 | 49.3% |
引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
住宅のうち、居住世帯のない家屋は「空き家」に分類されます。
空き家は900万戸を超え過去最多を記録しました。
空き家の内訳は、賃貸物件や売却中の物件、その他に大別されます。
賃貸物件の空き家は緩やかに増加しているものの、空き家全体の中での割合は低減。
2023年には初めて賃貸の空き家率が50%を割り込んだことから、賃貸需要が持家需要を上回っていることがうかがえます。
4.賃貸住宅の家賃推移
1ヵ月あたりの家賃(円) |
増減率 | |
2003 | 51,064 | – |
2008 | 53,565 | 4.9% |
2013 | 54,052 | 0.9% |
2018 | 55,695 | 3.0% |
2023 | 59,656 | 7.1% |
引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
賃貸住宅の家賃も、時代の変化に応じて変動しています。
家賃は継続して上昇を続けてきましたが、2018年から2023年にかけて7.1%と大幅な上昇を見せました。
この背景にはインフレなどによる住宅の種別を問わない賃貸物件全体の家賃上昇の影響がありますが、とくに公営および非木造の民間借家の家賃が増加率の上昇に寄与しています。
一方で、セーフティネットとしても活用されるUR賃貸の家賃は、上昇幅が最低限に抑えられています。
今後も物価や地価の上昇を理由とした家賃の引き上げが多発することが予想されますが、引き上げの対象になる物件は限定的で、家賃帯の二極化が進むかもしれません。
5.高齢者のいる世帯のうち単身世帯
65歳以上の高齢者のいる世帯(千戸) | うち高齢単身世帯(千戸) | 高齢単身世帯率 | |
1993 | 11,764 | 1,818 | 15.5% |
1998 | 13,857 | 2,425 | 17.5% |
2003 | 16,411 | 3,381 | 20.6% |
2008 | 18,198 | 4,138 | 22.7% |
2013 | 20,844 | 5,517 | 26.5% |
2018 | 22,534 | 6,380 | 28.3% |
2023 | 23,750 | 7,617 | 32.1% |
引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
現代の日本は超高齢化社会といわれており、高齢者がいる世帯が増加し続けています。
65歳以上の高齢者がいる世帯の増加は、直近の30年間で2倍以上となりました。
とくに単身世帯を中心に高齢化が進んでおり、30年間でその数は4倍、割合も2倍以上に膨れ上がっています。
2023年には初めて高齢の単身者世帯の割合が3割を超え、過去最高を記録しました。
この増加傾向は、今後も鈍化することはないものと予想されています。
6.高齢者単身世帯の借家率
高齢者単身世帯(千戸) |
持ち家(千戸) |
借家(千戸) |
借家率 |
7,617 |
5,138 | 2,451 | 32.2% |
引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
2023年度は、高齢者単身世帯の実に32.2%が借家に住んでいることがわかりました。
総じて高齢であるほど持ち家志向は強くなりますが、絶対数が多く、なおかつ3世帯に1世帯が借家に住んでいるとなれば、賃貸住宅オーナーとして高齢者は決して無視できない層になってきているといえるでしょう。
7.高齢者等向け住宅設備がある住宅の割合
総世帯数(千戸) |
高齢者等向け住宅設備がある住宅(千戸) | 居住ありの住宅に対する割合 | |
2018 |
53,616 |
27,270 |
50.9% |
2023 |
55,665 |
31,155 |
56.0% |
引用:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
近年、高齢者向けの設備を備えた住宅が増加傾向にあります。
2023年における高齢者等向け住宅設備がある住宅の割合は、56.0%に上りました。
5年前の2018年から住宅数、割合ともに大幅に上昇しています。
高齢者向け住宅に導入されている設備は「手すり(44.0%)」「またぎやすい高さの浴槽(20.5%)」「段差のない屋内(22.3%)」などが多く、いずれも2018年よりも導入が進んでいるようです。
こうした設備の導入を含む住宅のバリアフリー化は、高齢化にともない、ますます顕著になっていくものと推測されます。
まとめ
全国的に住宅数の増加が続いています。
賃貸住宅もその数を順調に増やしていますが、伸び率は持ち家に比べて鈍く、住宅全体に占める割合を徐々に下げています。
一方で、空き家に占める賃貸住宅の割合も低減していることから、借家の需要自体は拡大しているようです。
65歳以上の高齢者がいる世帯数は社会全体の高齢化とともに伸びており、とくに単身世帯が加速度的に増えていることから、高齢者の賃貸需要が拡大していくものだと考えられるでしょう。
2025年には、団塊の世代にあたるすべての方が75歳以上の後期高齢者となります。
賃貸物件を利用する高齢単身世帯の割合は現在3割を超えており、今後もさらに伸びていくことが予想されます。
不動産オーナーにとって、賃貸需要の拡大や経営の安定のためには、高齢者の受け入れが重要になってくるでしょう。
高齢者の受け入れは、孤独死の発生や連帯保証人探しに苦戦するというリスクも。
一方で、年金という安定した収入源がある入居者が入るという強みがあります。
入居者募集に苦戦しているオーナーは、入居者の間口を広げ、高齢者を視野に入れた戦略を考えてみるのも一案です。
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