ペットの飼育許可で空室対策:賃貸オーナーが知るべきメリットと注意点とは?
空室対策
今、一人暮らしであっても犬や猫などのペットを飼育する人が増えています。
さらに最近では犬や猫だけでなく、ハムスターやウサギ、フェレット、ハリネズミ、カメ、トカゲなどさまざまなペット愛好家がおり、ペットの飼育が可能な賃貸物件のニーズも高まっています。
しかしながら、賃貸物件でペットの飼育を許可しているペット可物件は非常に少ないのが現状です。
そのため所有する物件の入居条件を緩和し、ペット飼育OKとすれば空室が改善できる可能性があります。
今回は、ペット可物件に変更した場合のメリットと注意点についてご説明します。
目次
1.ペット可物件の現状とペット飼育者が抱える問題
街を歩いていると犬を散歩させる人に出会うことがあるでしょう。
SNSや動画サイトなどを見ても愛犬や愛猫のかわいらしい姿をアップしている人は多く、ペットを飼育している人が多いことがお分かりになるかと思います。
では、ペットを飼育している人が多い現状に比べて、ペット可物件はどのくらいあるのでしょうか。
1)ペット可の賃貸物件の数は少ない
以前は、賃貸物件と言えばペットの飼育を禁止しているところがほとんどでした。
しかし、度々起こるペットブームに後押しされる形でペットの飼育を許可する賃貸物件が登場し、現在ではその数も増えつつあります。
それでもペット飼育をOKとしている賃貸アパートやマンションは、ペットの飼育を不可としている物件に比べて非常に少なくなっています。
エリアによってもばらつきがありますが、ペット飼育が可能な賃貸物件の割合はおおよそ10%~20%程度です。
ペットを飼育している人や飼育したい人に比べて、ペットの飼育を許可する物件の数は決して十分なものとは言えません。
2)ペットを飼っている人が賃貸物件に抱く悩み
ペット飼育を許可している賃貸物件が少ないため、すでにペットを飼っている人は引っ越しを考えてもなかなかペット飼育が可能な賃貸物件が見つけられずに転居できないという現実があります。
物件検索時にはエリアの範囲を広げたり、予算よりも高い家賃の物件を選んだり、築年数の古い物件を選んだりといったように、本来の希望条件よりも条件を緩めて賃貸物件を探さなければならないという悩みを抱えているのです。
2.賃貸物件でペットの飼育をOKするメリット
ペット飼育をOKとする賃貸物件の割合は、決して高くありません。
したがって、所有しているアパートやマンションをペット飼育OKの物件にすると次のようなメリットが生じると考えられます。
1)ライバル物件と差別化ができる
ペット可の物件は、多くはありません。
そのために周辺に同じような条件の賃貸アパートやマンションがあった場合、ペットの飼育をしている人やこれからペットの飼育を希望している人はペット飼育可の物件の方を選ぶでしょう。
ペット飼育をOKとすれば、ライバル物件との差別化ができ、空室対策につながります。
2)条件の悪い物件でも入居者を獲得しやすくなる
前述したようにペットを飼育している人は、希望の条件でなかなか物件を探すことができません。
そのため多少不便な場所にあっても、ある程度築年数が経った物件でも、ペット飼育が可能であれば入居を希望する可能性が高くなります。
飼い主の中には自分にとって利便性の高い環境であることよりも、ペットにとって暮らしやすい環境を第一に考える人もいます。
都心部や駅に近い場所よりも、安心して散歩できるコースや緑の多い公園が近くにあるなど、自然を身近に感じられるような郊外のエリアが好まれるケースもあります。
このように、ペット可にすれば、一般的に見ればあまり条件の良くない賃貸アパートやマンションであっても、入居者を獲得しやすくなるのです。
3)入居者の退去を抑えられる
ペットの飼育が可能な賃貸物件を探したことがある人であれば、ペット可物件の少なさを、身をもって感じているはずです。
ペットが飼育できる賃貸物件であることを理由に入居した人であれば、引っ越しを検討してもなかなか物件を見つけられないために、すぐに退去に至るケースはまれです。
入居者の退去を抑制し、長く安定的に居住してもらえるのも賃貸物件でのペット飼育を認めることで得られるメリットでしょう。
4)家賃を高めに設定できる
ペット飼育をOKにした場合、同条件のペット不可の物件に比べて高めの家賃に設定できる可能性があります。
ペットを飼っている人は、引っ越しのためにペットを手放すという選択をすることはまずないと言っていいでしょう。
そのため、引っ越すのであれば次もペットの飼育が可能な賃貸物件を探します。
ペットの飼育OKの条件は希少性の高い賃貸物件になるため、入居者は多少家賃が高くなってもペットの飼育が可能な物件を選びます。
そのため、周辺物件に比べて家賃を高めに設定しても入居者を獲得しやすくなります。
3.賃貸物件でペット飼育可にする場合の注意点
賃貸物件ではペット飼育を可能にすれば、空室対策にもつながり、さらには家賃も高めに設定できる可能性があります。
このようなメリットがあるにもかかわらず、なぜペット飼育を不可とする賃貸物件が多いのでしょうか。
それは、ペット飼育を許可することでトラブル等が生じる可能性があるからです。
賃貸物件でペット飼育をOKとする場合には、トラブルを未然に防ぐために次のような点に注意する必要があります。
1)ペットの飼育によって生じるダメージ
ペットを飼う場合、部屋にペット用のトイレを設置することが多くなるでしょう
どんなに気を付けていても、部屋の中にはペットのにおいが付いてしまいます。
猫は柱などにマーキングをする可能性もあります。
そのほか、ウサギなどは柱をかじったり、犬や猫が柱や壁をひっかいて傷を付けてしまったりという可能性もあります。
ペットの飼育を許可する際には、部屋にダメージが生じることをあらかじめ理解したうえで、原状回復費用を確保するために敷金や礼金を増やすほか、退去時のハウスクリーニング費用、部屋全体の消臭や消毒の費用を契約時に定めておくなどの対策が必要です。
2)飼育できるペットの数を制限する
ペットを飼育する人の中には多頭飼いをする人がいたり、入居中に子供が増えてしまったりすると、においや鳴き声など、他の入居者とのトラブルに発展する可能性が高くなります。
室内で飼育できるペットの種類やその数に制限を設け、入居の際にはペット飼育に関する規則をまとめた同意書を作成し、入居者からの同意を得るようにしましょう。
同意書と一緒にペットの写真の提出を求めると、万が一トラブルが発生した際にも原因を特定しやすいため安心です。
3)防音対策等、ペットを飼いやすい環境を整える
ペットの鳴き声やにおいなどは、他の入居者とのトラブルに発展しやすいものです。
ペットの飼育を許可する際には、防音対策を行ったり、消臭タイプの壁紙を使用したり、ペットを飼いやすくする室内環境に整えることも大切です。
ペット飼育可能な環境への変更は、入居者トラブルを防ぐだけでなく、建物のダメージを抑えることにもつながります。
ペット飼育を許可する際には、事前に室内環境も整えるようにしましょう。
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4)既存の入居者に配慮をする
すでに住んでいる人への配慮も忘れてはいけません。
ペットの飼育をOKとするのであれば、その前に入居者にペット飼育を許可する旨を通知しましょう。
入居者の中には鳴き声等のトラブルを不安に思い、ペット可物件への変更を反対する人もいるかもしれません。
ペット可物件に変更する際には、既存の入居者にペット飼育可に変更する旨の承諾を求めるか、ペット可に変更するまでに十分な猶予期間を求めるなどの配慮が必要になってくるでしょう。
まとめ
ペットを飼育している人が多いにもかかわらず、ペット飼育を可としている賃貸物件は非常に少ないです。
ペットを飼育している人は、ペット可物件が少ないことを承知しているため、多少場所が不便であったり、家賃が高めであったりしても入居を希望する可能性が高く、ペット飼育OKへの変更は空室対策として効果的です。
しかし、ペット飼育を可にすると、ペットをめぐるトラブルが発生する可能性もあります。
ペット飼育可に変更する際には、事前にペット飼育を許可する場合に生じる注意点をしっかりと理解し、十分な対策を講じたうえで変更するようにしましょう。
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