ごみ屋敷の入居者は退去させられる?賃貸アパートのオーナーができる対策とは
近隣トラブル
アパート経営では夜逃げや家賃滞納、入居者トラブルなど様々な問題が起こるものです。
その中でも近年、社会問題として増えているのが「ゴミ屋敷トラブル」。
アパートの1室がゴミ屋敷になるだけでも被害は大きく、悪臭や害虫の発生、火災リスクの高まりなどゴミ屋敷があることで生活に不安を感じる近隣住民からクレームが入ることも少なくありません。
この記事では、ゴミ屋敷トラブルが発生してしまったときに、賃貸アパートのオーナーができる対策について解説します。
目次
1.ゴミ屋敷や汚部屋になる賃貸アパートは増えている
部屋の中に足の踏み場もない、悪臭や害虫が発生しているといったゴミ屋敷や汚部屋が増えています。
平成30年に環境省環境再生・資源循環局により発表されている「ごみ屋敷」に関する調査報告書によると、調査対象の全国1741市区町村のうち「ゴミ屋敷の事案について認知している」と回答した市区町村は、594。 全体の34.2%もの市区町村でゴミ屋敷を認知しているのです。
所有する貸室がゴミ屋敷化してしまうとその後の対応に費用も手間もかかるため、アパート経営に大きな支障をきたします。
ゴミ屋敷や汚部屋といったトラブルは、決して他人事ではありません。
アパート経営において身近な問題として捉えましょう。 参考:平成29年度「ごみ屋敷」に関する調査報告書
2.ゴミ屋敷や汚部屋による5つのリスク
所有物件がゴミ屋敷や汚部屋化すると、オーナーにとって良いことは1つもありません。
ゴミ屋敷や汚部屋になってしまうと、室内が痛み、他の入居者にも迷惑をかけてしまいます。
ここでゴミ屋敷や汚部屋によるリスクを5つ解説します。
1)悪臭

ゴミ屋敷や汚部屋は「悪臭」が発生します。
溜まったゴミが腐敗した臭い、排水口などの水回りに繁殖したカビの臭い、動物による糞尿の臭いなど様々な臭いの混ざった強烈な悪臭が室内に漂います。
やっかいなのが、室内だけでなくアパートの共用部や隣近所の部屋にも臭いが漏れること。
臭いの問題は、近隣住民とトラブルになりやすいものです。
ゴミ屋敷の住人が退去した後も、室内に付着した悪臭はリフォームだけでは取れず、専門業者による特殊清掃が必要です。
ゴミ屋敷や汚部屋は居住中もクレームの元となり、退去後もリフォーム費用がかさむことから、賃貸アパートのオーナーにとって頭を抱える問題だといえるでしょう。
2)害虫の発生
室内がゴミで溢れる状態になってしまうと、ダニやハエ、ゴキブリなどの様々な害虫が発生します。
害虫はただ気持ち悪いだけでなく菌やウイルスをまとっていることがあり、注意が必要です。
ゴミ屋敷で発生した害虫は、他の部屋に移動することも考えられるため、被害は近隣住民にも及びます。
3)火災のリスクが高まる
室内がゴミ屋敷や汚部屋化すると、火災のリスクが高まります。
火災が発生する原因は様々で、入居者によるタバコの火の不始末や暖房器具からの引火、トラッキング火災などがあります。
トラッキング火災とは、電気が発生するコンセントに溜まったホコリが原因で起きる火災のことです。
火災が発生すると、室内の損傷だけでなく、入居者自身や近隣住民の命の危険にも繋がるため注意しなければなりません。
消防庁による火災状況の統計によると、令和3年1~12月の建物火災件数は19,549件でした。
これはおおよそ1日あたり53件の火災が発生したことになり、決して少なくない件数です。
ゴミ屋敷・汚部屋は大量にゴミがあるので、万が一引火すると瞬く間に燃え広がり、大きな火災になるおそれがあるので特に注意が必要です。
参考:消防庁 令和3年(1~12月)における火災の状況(確定値)について
4)近隣住民の退去
アパートの汚部屋から発生する悪臭や害虫は、他の入居者にも被害の及ぶケースが少なくありません。
●室内でゴキブリの発生
●悪臭によって洗濯物をベランダに干せない
●自宅まで悪臭が漂う
自宅を綺麗な状態で使っていたとしても、近隣に汚部屋があることによって、被害が出てしまうケースがあります。
住んでいる部屋の近所にゴミ屋敷があると快適な生活が送れないため、退去を希望する方が出るのも考えられます。
途中解約の悪化はアパート経営にとって大きな損失になってしまうので、他の入居者が退去を希望する前にゴミ屋敷トラブルの解決が必要です。
5)隣室の入居者から引っ越し費用を請求されるおそれも
オーナーは入居者に対して、室内を通常通りに使える状態で使用させる義務があります。
隣の汚部屋から悪臭や害虫が発生し、他の入居者の生活にまで影響をきたしている場合は、通常使用できる状態とは言い難いと言えるでしょう。
隣室の入居者がゴミ屋敷の対応を求めているにもかかわらず、措置を講じなかった場合はオーナーの責任です。
通常使用できないのを理由に隣室の入居者が引っ越すのであれば、債務不履行とみなされ、オーナーは引っ越し費用を賠償しなければならない可能性もあります。
3.ゴミ屋敷の入居者に出ていってもらうことは可能!退去するまでの流れ
ゴミ屋敷や汚部屋の住民に、状態の改善を求めても応じない場合には強制退去させることも可能です。
ゴミ屋敷や汚部屋となった場合、一般的には以下の流れで入居者への対応を進めます。
1)ゴミを撤去するよう口頭や文書で注意する
ゴミ屋敷化しているのが明白であれば、まずはゴミを撤去するよう口頭や文書で入居者に伝えます。
ただし、入居者はゴミを溜め込むのが常態化しているので、1度伝えるだけで改善するのは難しいかもしれません。
ゴミ屋敷は近隣住民とのトラブルの元になるので、オーナーは根気よく繰り返し伝えて改善を求めましょう。
2)ゴミを撤去するよう内容証明郵便を送付する
口頭や文書で注意しても改善がない場合、期日を定めたゴミ撤去をお願いする旨を記載した内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便とは「いつ」「誰が」「どこに」「どのような内容」の書面を送ったかを証明する制度です。
郵便局が保管する謄本によって郵便物が配達されたことを証明する効力があるため「知らなった」「聞いていなかった」「届いていない」といった言い逃れは通用しません。
内容証明郵便には法的拘束力はないので、期日までにゴミを撤去していないからといって、賃貸借契約の解除や強制退去を求めることはできません。
ただし、入居者に注意喚起をしたという事実がその後の法的手続きで有利に進めやすくなります。
アパートの入居者が強制退去になる理由5選!オーナーが知るべき退去手順
3)行政に相談する
ゴミ屋敷の解消は、オーナーだけで解決しようとせずに、警察や保健所などの行政に相談することも大切です。
行政機関に相談すると、ゴミ屋敷の状況によっては、入居者に対して指導や勧告が行われます。
オーナーだけでなく行政機関から注意を受けることで、入居者は焦りを感じ、ゴミ処分に対して前向きに取り組むケースもあるので効果的です。
自治体によっては、ゴミ屋敷条例を定めている地域があります。
ゴミ屋敷条例を定めている場合、行政がゴミ屋敷の住人に指導や勧告を繰り返し行っても改善が見られないときには行政代執行ができます。
行政代執行とは、自治体から何度も通告されているにもかかわらずゴミを処分しない場合、行政が専門業者に依頼してゴミを強制的に撤去することです。
ゴミの撤去にかかった費用は、いったん行政が立て替えた後に入居者が負担します。
行政代執行にかかった費用は、入居者が必ず支払わなければなりません。
入居者の原因による行政代執行の場合、オーナーはゴミ撤去にかかった費用の負担はないのでご安心ください。
4)善管注意義務違反を理由に賃貸借契約解除を申し出る
借りている部屋をゴミ屋敷にするのは「善管注意義務」違反に該当します。
よって、オーナーは賃貸借契約の解除を申し出ることが可能です。
ただし、部屋を多少不潔な状態にしているだけでは賃貸借契約の解除は認められません。
室内のゴミの状態が社会通念上、遥かに許容量を超えている場合や、オーナーから何度もゴミを撤去するよう注意を受けているのに是正されないときには、オーナーと入居者の信頼関係が破綻したものと判断され、契約解除が認められやすいと言えます。
5)退去に応じない場合は裁判を起こす
期限までに入居者が退去や賃貸借契約の解除に応じない場合には、オーナーによる明け渡し請求の裁判に発展します。
勝訴できればゴミ屋敷の住民に対して強制退去を求められます。
ただし、必ず勝訴できるとは限りませんので、裁判で勝つためには弁護士に相談・依頼するケースが一般的です。
弁護士に相談すると、裁判以外の対処法を提案してもらえることもあり、費用の軽減が期待できます。
6)裁判所に強制退去を容認してもらう
裁判所に物件の明け渡し訴訟を提起しオーナーが勝訴した場合、強制執行を裁判所に申し立てることができます。
入居者のゴミ屋敷が社会常識を明らかに超えており、尚かつオーナー側の対応に不備がなければ、勝訴の判決が言い渡される可能性は高いでしょう。
ただし、裁判で賃貸借契約の解除に値する損害が生じていないと判断されると、強制退去はできません。
裁判所に容認される確率を高められるよう、オーナーは正しい手順を踏んで入居者に対応しましょう。
4.アパートのオーナーが汚部屋の対応をする際に気を付けること
アパートのオーナーは汚部屋の入居者に対しゴミ屋敷となった部屋の改善を求める権利がありますが、手段によっては気付かないうちに違法行為となってしまうおそれがあります。
汚部屋の対応をする際には、次の点に気を付けましょう。
1)玄関ドアに張り紙を貼って注意喚起するのはNG
注意喚起のために玄関ドアに張り紙を貼る行為は、第三者に周知してしまうので、名誉棄損とみなされるおそれがあります。
ゴミ屋敷に注意喚起をするのであれば、改善を求める文書を入れた封筒をポストに投函するなど、第三者にわからないように気を付けましょう。
2)勝手にゴミを捨てない
どんなに不衛生であっても、入居者のゴミを第三者が勝手に処分してはいけません。
一見するとゴミに見える物でも入居者の所有物なので、オーナーだとしても勝手に捨てることはできません。
入居者が自分の所有物だと主張するなら私有財産扱いになるので、勝手に処分すると窃盗罪にあたるおそれがあります。
ゴミ屋敷から溢れているゴミを入居者の許可なく処分するとトラブルに発展するケースがありますので、勝手に処分しないようにしましょう。
3)自力で退去を促す
入居者が住む部屋の水道や電気、ガスなどのライフラインを止めて、オーナー自ら退去を促すことは違法行為に該当します。
勝手に鍵を交換する行為も、住居侵入罪やプライバシー権の侵害とみなされ、刑事事件として扱われるおそれがあります。
民事法上には、侵害された自己の権利を法律上の手続きによらず実力行使で回復してはならないという「自力救済の禁止」という概念があります。
オーナーによるライフラインの停止や鍵の交換は、自力救済の禁止に該当する行為とみなされるおそれがあるので注意が必要です。
オーナーだけで解決できない場合は、行政や弁護士に相談しましょう。
4)入居者を追い出すには費用と時間がかかると心得る
賃貸アパートをゴミ屋敷にして近隣住民にまで迷惑をかけている状態は、善管注意義務に違反していると判断できます。
しかし、即座に賃貸借契約を解除するのは難しく、入居者に繰り返しゴミの撤去をするよう注意し続けていくのが現実的な対応です。
入居者を追い出すのは容易ではありません。
強制退去するには法的な手続きをとる必要があるので、さらに費用と時間がかかるものだと捉えておくと良いでしょう。
5.ゴミ屋敷・汚部屋の退去費用や原状回復費用の負担は?

入居者を強制退去できたとしても、まだ終わりではありません。
次の入居者を探すためのゴミ屋敷の原状回復工事が残っています。
原状回復工事の費用や、ガイドラインの取り決め事を見ていきましょう。
1)ゴミ屋敷の原状回復費用は高額に
生ゴミから漏れた液体が壁や床に付着することによってフローリングは腐食し、壁紙には臭いが染み込みます。
原状回復工事ではフローリング・壁紙の張替えはもちろん、悪臭をとるための特殊清掃、消臭・除菌といった施工が必要です。
ゴミ屋敷化した部屋の原状回復費用は、通常よりも高額となるケースが多く、場合によっては百万円を超える金額も珍しくありません。
まだ使える設備等を汚損・破損させ、明らかに入居者の故意・過失と判断される場合、入居者は負担しなければなりません。
原状回復費用の負担区分は、国土交通省のガイドラインに沿って、入居期間や室内の状態によって異なります。
2)汚部屋でも国土交通省のガイドラインに沿った対応となる
国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」といった原状回復の指針を定めています。
誰が・どのような割合で費用を負担するのか明記されているため、原状回復の費用負担で発生しやすいトラブルを未然に防ぐのに効果的です。 ガイドラインでは建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる減価償却の考え方を採用しているので、入居期間が長くなるほど入居者の原状回復費用が少なくなります。
例えば、壁紙の減価償却期間は6年と定められているため、入居期間7年で退去するなら入居者の負担はないものと定められています。
た
だし入居者の故意・過失により使用不能となった場合には、原状回復費用の請求は可能です。
壁紙に臭いのとれない生ゴミの液体を付着させた場合、残存価値がゼロだとしてもまだ使える設備等を破損させたとみなされ、入居者の責任で元に戻さないといけません。
入居者は壁紙の張替え費用を全額負担する必要はありませんが、張替え作業をする職人の人件費や工事費等を支払わなければいけません。
上記のようにゴミ屋敷や汚部屋の場合でも、経年劣化や入居者による過失はガイドラインに沿った対応をとるのが一般的です。
ただ、ガイドラインはあくまで原状回復の一般的な基準をまとめたものであり、最終的には契約内容に沿って個別に対応する必要があります。
6.アパートのゴミ屋敷トラブルを回避するための対策
ゴミ屋敷は、解決が難しいトラブルの1つです。 ゴミ屋敷の解決には時間も費用もかかり、アパートのオーナー自らが対応するのは簡単ではありません。
この章では、ゴミ屋敷トラブルを防ぐための対策について解説します。
1)賃貸借契約で特約条項を結ぶ
ゴミ屋敷になるのを未然に防ぐには、賃貸借契約書の特約条項に「ルールを守らなかった場合には契約解除する」旨を明記するのが大切です。
特約条項に明記し、入居者が納得のうえで契約締結することがゴミ屋敷の抑止力にもなります。
入居者が特約条項に違反した場合には、契約義務に違反していることになるため、賃貸借契約を解除する際にも円滑に進めやすくなるでしょう。
2)定期的に物件を確認する
ゴミ屋敷になってしまうと解決が難しいので、ゴミが溜まってしまう前に予防することが最善の対策でしょう。
予防で大切なのが、定期的に物件を確認することです。 定期的に物件の共用部の見回りや清掃をすると、異変に気付きやすくなります。
例えば、玄関ドア前に荷物を積み重ねて置いてある状態であれば、行く度に注意喚起するとゴミ屋敷化の防止に繋がります。
入居者としても、荷物を片付けようといった意識付けにもなるでしょう。
入居者がゴミを溜め込みそうであれば、話し合う、注意喚起するといった対応ができ、ゴミ屋敷化の予防に繋がります。
3)入居審査で厳しめにチェックする
入居審査では、申込書だけでなく、その人の態度や言葉遣い、服装などもチェックするのをおすすめします。
書面だけではわからない入居者の人となりが見えるからです。
例えば、営業マンに対する態度が横柄な人や、服装に清潔感がなくだらしないと感じる人の場合、入居後にトラブルを起こす可能性があると予想できます。
ゴミ屋敷になってしまうと、その後の対応や原状回復に費用も時間もかかってしまいます。 入居審査の時点で厳しめにチェックして、基準から外れている場合はお断りするのも1つの方法です。
4)管理を委託する
ゴミ屋敷トラブルを回避するには、不動産会社に管理を委託することも有効です。
委託すれば100%防げるわけではありませんが、事態の重症化を防ぎ、オーナーの負担を大きく減らせます。
管理会社は専門的な知識と経験を有していますので、ゴミ屋敷を未然に防ぐ対策や解決方法を熟知しています。
ゴミ屋敷のトラブル回避だけでなく、入居者選定や契約書の作成、建物清掃など様々な管理業務で、オーナーの心強い味方になってくれるでしょう。
なおランドネットでは、賃貸管理に関わるすべての業務を代行しています。
入居中の様々なトラブルに迅速に対応・解決し、入居者満足度を高める管理をしているので、万が一ゴミ屋敷化してもオーナー様の手を煩わせることはありません。
ゴミ屋敷を未然に防ぐ、または解決するために万全を期した管理を心掛けています。
ゴミ屋敷化になるリスクを抑えた賃貸管理サポートにご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
アパート経営を営んでいるオーナーの中には、入居者が部屋をゴミ屋敷にしてしまって困っている方もいるのではないでしょうか。
ゴミ屋敷の発生は、アパート経営を営む中で決して他人事ではないトラブルです。
賃貸アパートのオーナーは、善管注意義務違反を理由に賃貸借契約の解除や強制退去を入居者に求められますが、単独で進めるのは容易ではありません。
正しい方法かつ適切な手順を踏まなければ、入居者から損害賠償を請求されるといった事態にもなりかねません。
ゴミ屋敷の解決は、慎重に進めましょう。
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