「無断転貸」発覚時に賃貸借契約を解除する手順

近隣トラブル

賃貸経営を行っていると、入居者が無断で他人に部屋を貸し出してしまっているというトラブルに見舞われるケースがあります。

貸主に無断で部屋を第三者に転貸することは、法律上禁止されている行為です。

では、無断で他人に転貸していることが発覚した場合、オーナーのあなただったどのような対応にしますでしょうか?

もし、ちょっとでも「自信がないな…」と感じたら、ぜひこの記事で知識を付けてもらえればと思います。

今回は、無断転貸が起きたときの対応方法についてご説明します。  

1.無断転貸とは

無断転貸とは、貸主の承諾を得ずに、借りている部屋を第三者に転貸する行為です。

民法第612条では、賃貸物件の転貸について次のように定めています。

引用

「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」

 

引用元:民法612条(【最高裁平成8年10月14日判決】)

  無断転貸は、民法上の違反行為であり、オーナーは無断転貸を理由に賃貸借契約を解除できるとしているのです。

2.無断転貸によって起きるトラブルとは

無断転貸が発覚した場合でも、家賃が支払われているのであれば問題ないと考えるオーナーもいるかもしれません。

しかし、無断転貸を放置しておくと次のようなトラブルを招く可能性があります。

1)転借人が不法就労者や反社会的勢力である可能性がある

そもそも自分で賃貸物件を借りられるような人は、他人が借りている物件に住む必要はありません。

無断転貸では、何らかの事情により入居審査に通らない人が転借人となっているケースが多く、就労ビザをもたない外国人の不法労働者や反社会的勢力の一員であることも少なくありません。

2)部屋や設備が損傷した場合、責任の所在が不明確になる

賃貸中に入居者の故意・又は過失によって部屋や設備が損傷した場合、貸主は入居者に損害賠償を求めることができます。

しかしながら、無断転貸の場合は入居者と賃借人が異なるため、賃借人は自分の責任ではない損傷に対して、賠償費用の支払いを拒否するケースが出てきます。

無断転貸では、室内の損傷に対しての責任の所在が不明確になるため、損害賠償を巡るトラブルにも発展しやすくなります。

3)近隣トラブルが起きる可能性がある

無断転貸の場合、契約時にゴミの出し方をはじめ、居住するにあたってのルールを直接伝えた賃借人が住んでいるわけではありません。

そのため、ゴミ出しのルールを守らなかったり、夜間に騒音を立てたりといった問題が生じ、近隣トラブルが発生する可能性もあります。

トラブルによって、無断転貸をしている物件の居住者ではなく、周辺の部屋に住む入居者が退去してしまった場合には、空室による損害が生じてしまいます。

4)転借人に家賃の請求を行った場合は転貸を承諾したとみなされる場合も

家賃が滞納されていた場合、賃借人ではなく、転借人であることを知ったうえで、転借人に対して家賃の請求を行ってしまうと、オーナーが転貸を認めたとみなされる可能性もあります。

その場合、無断転貸ではなく貸主が承諾したうえでの転貸になるため、賃貸借契約は解除できなくなってしまう点に注意が必要です。  

3.無断転貸が発覚した場合は、賃貸借契約を解除できる?

無断転貸が発覚し、賃貸借契約の解除を求める場合、すべての事例において契約解除が認められるのでしょうか。

1)無断転貸が発覚した場合は、原則として賃貸借契約を解除できる

無断転貸をしていた場合、貸主は原則として賃貸借契約を解除することができます。

契約を解除する旨を賃貸借契約書に記載していない場合であっても、それは同様です。

2)無断転貸でも賃貸借契約を解除できないケースがある

無断転貸を行った場合は、賃貸借契約を解除することができると民法には謳われていますが、すべてのケースにおいて無断転貸による契約解除が認められているわけではありません。

過去の裁判事例において、最高裁は、無断転貸が貸主に対する背信行為と認めるに足りない特段の事由があるときは、契約を解除することができないとの判断を示しているのです。

背信行為とは信義に反する行為のことで、互いの信頼関係が崩壊した場合のみ、賃貸借契約の解除が認められるとされている点に注意しましょう。

4.無断転貸による賃貸借契約解除の手続き

無断転貸が発覚した場合、又は無断転貸の疑いがあると気づいた場合は、できるだけ早く対処することが大切です。

無断転貸を賃借人が認めない可能性や解除に応じない可能性も考えられるため、弁護士の対応が必要になるケースもあります。

1)事実関係を確認する

契約上の賃借人に対し、無断転貸の事実を確認します。

どのような事情で第三者に物件を転貸しているのか、いつから転貸をしているのかをヒアリングします。

このとき、賃借人が無断転貸の事実を否定する可能性もあるでしょう。

人の出入りの状況なども確認し、事実関係を明確に示せるようにしておきましょう。

2)管理会社に相談する

無断転貸は、貸主であるオーナーと賃借人の間で結ばれた賃貸借契約の中で生じた問題です。

したがって、管理会社は当事者ではありませんが、これまで扱った事例などから無断転貸の対処法についてアドバイスをもらえる可能性があります。

ご自身での対処に悩む場合は、まずは管理会社に相談することをおすすめします。

3)賃借人と話し合いができる場合

賃借人が転貸を認めた場合は、賃貸借契約の解除手続きをすすめます。

賃借人との賃貸借契約が解除されれば、転借人にも建物の明け渡し請求ができるようになります。

また、賃借人が契約解除に合意しない場合は、所有権に基づく妨害排除請求として、貸主は転借人に対して建物の明け渡し請求をすることも可能です。

4)賃借人と話し合いができない場合

賃借人と連絡が取れなかったり、話し合いができないような場合は、連帯保証人へ連絡します。

連帯保証人を立てていない場合や連帯保証人とも連絡がつかない場合は、法的手段、つまり訴訟を起こして契約解除の手続きを進めるしかありません。

まとめ

賃借人が借りている物件を貸主に無断で第三者に又貸しすることを無断転貸といいます。

無断転貸は、民法で違反行為と定められており、無断転貸を行った場合には原則として賃貸借契約を解除できます。

無断転貸を放置しておくと、さまざまなトラブルに発展する可能性があります。

もし、無断で転貸している様子が見受けられるようであれば早めに状況を確認し、まずは管理会社に相談してみることをおすすめします。

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監修者
徳永 光泰【株式会社ランドネット】
徳永 光泰【株式会社ランドネット】
多店舗展開の賃貸仲介・管理会社で統括マネジャーを経験!他、不動産ベンチャー企業で執行役員として創設期に携わり、大手不動産会社ではプロパティマネジメントに従事する。【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター【不動産業界歴】26年

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