設備故障で最大5割の賃料減額が当たり前に?トラブルから利益を守る対策3選

設備故障

賃貸物件で設備が故障した場合、その修理責任はオーナーにあります。

それは、以前も今も変わりません。

さらに、民法の改正が行われ、設備故障によって入居者に不便な状態が生じた場合、最大で5割もの賃料減額がなされることが決定したのです。

賃料が半額になってしまえば、収益に大きな影響を与えます。

今回は設備別にどれくらい家賃が減額されてしまうのか?を踏まえて

オーナーが設備故障トラブルから利益を守るための対策についてご説明します。  

1.2020年に民法改正、賃貸物件の設備故障は賃料減額に

2020年、民法が改正され第611条の「賃借物の一部滅失等による賃料減額等」の内容が大きく変更されました。

まずは、改正の内容を確認しておきましょう。

1)民法第611条「賃借物の一部滅失等による賃料の減額等」

改正前の条文は、次の通りです。

「賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。」

  そして、改正後は次の条文に変更されました。

「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

2)改正によって、設備不良時の賃料減額が当然となることに

改正前の条文では、入居者の過失以外の理由で設備が使用できない状態になったときには、入居者は使用できない部分の割合に応じて「オーナーに賃料の減額を請求できる」ことを示しています。

一方改正後の条文は、割合に応じて「賃料が減額される」としているのです。

これは、賃貸物件の設備管理について、オーナーの責任がより重たくなったことを示しています。

改正前は入居者から賃料の減額を求められたらという限定条件で、オーナーはそれに応じる必要がありました。

しかし、改正によって入居者からの賃料減額請求の如何に関わらず、設備が使用できなくなった場合は賃料が減額されることになったのです。

2.最大5割も賃料減額がなされる設備故障トラブルとは

民法の改正に伴い、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会は「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を公表しました。

この中では、設備等に不具合が生じた場合の賃料減額割合が示されており、中には最大で5割も賃料を減額しなければならないものも含まれています。

1)雨漏りが生じた場合は、最大5割の賃料減額に

このガイドラインによると、室内に雨漏りが生じた場合、賃料は最大5割減額されるとしています。

また、雨漏り以外のトラブルについても次のように賃料の減額割合が示されています。

参照:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会

免責日数とは、代替物や修繕業務の準備にかかる時間を一般的に算出したもので、賃料の減額割合の計算日数に含まない期間です。

つまり、雨漏りであれば、7日以内にオーナーが修繕を行い、問題なく室内が使用できる状態になれば賃料は減額されません。

2)設備故障による賃料減額の計算式

賃料の減額を計算する場合、まずはA群のいずれかに該当するかを確認します。

A群に該当するものがあれば、賃料減額割合と免責日数を元に、減額となる賃料を算出します。

A群に該当するものがなく、B群に該当するものがあれば、B群の賃料減額割合と免責日数を元に金額を算出します。  

ここで、注意したいのは、減額となる賃料を算出する際には、日割り計算(30日として計算)で行う必要がある点です。

減額される賃料額は、次の式で求められます。

ポイント

減額賃料=月額賃料×賃料減額割合×(使用できなかった日数-免責日数)÷30日

月額賃料が100,000円の賃貸物件で、トイレが4日間使えなかった場合を例に計算してみましょう。

トイレが使えない場合の賃料減額割合は20%で、免責日数は1日です。

したがって、この場合の減額賃料の額は、100,000円×20%×(4日-1日)÷30=2,000円となります。

3.設備故障によって賃料を減額されないための3つの準備

設備故障による賃料の減額を避けるためには、次の3つの点をしっかり確認しておくことが大切です。

1)ガイドラインを理解し、不当な要求に対する知識を得ておく

まずは「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」の内容をしっかりと理解し、万が一、入居者から不当な要求がされた場合にも対応できるように知識を身に着けておきましょう。

また、賃貸借契約書に賃料減額の対象となる設備とその減額割合について、明確に記載することが大切です

入居者によっては、賃料が減額されることを知り、事実よりも長い期間に渡って設備が使用できない状態だったと虚偽の請求をしてくるケースも考えられます。

そのような事態に備え、設備故障などのトラブルが生じた場合には、トラブルが発生してから3日以内に申し出を行うなどの特約も追記しておくとよいでしょう。

2)管理会社とあらかじめ故障時の対応を確認しておく

管理会社に管理業務を委託している場合は、設備故障が生じたときの対応についてあらかじめ管理会社とルールを決めておきましょう。

具体的には、入居者から設備トラブルの連絡を受けた場合、修理の手配をする前に必ずオーナーの確認を取る必要があるかどうかという点です。

オーナーとなかなか連絡が取れない状況のときには、修理までに時間がかかり、賃料が減額される可能性が出てきます。

このような事態を防ぐためにも、管理会社と故障時の対応ルールを決めておくようにしましょう。

3)築年数が古い場合、設備保証サービスに加入しておく

築年数が30年以上の賃貸マンションや賃貸アパートの場合、突発的な設備故障が生じるリスクが高くなります。

管理会社の中には、契約期間中の設備故障時に備え、修理費用や部品の交換費用などを保証するサービスを提供しているところもあります。

設備保障の分、管理料は少し割高になりますが、オーナーとしては急な出費を抑えることができます。  

また、コールセンターで入居者の問い合わせを受け付け、早急に修理の手配をする旨を入居者にも伝えられるため、オーナーは手間をかけずに入居者の不満を抑えることができます。

築年数が古い物件を所有しているようであれば、設備保障サービスへの加入も検討してみるとよいでしょう。

まとめ:家賃を減額されない為の正しい知識を

民法の改正に伴い、賃貸物件で設備などの不具合が生じた場合、賃料が減額されることになりました。

賃料の減額リスクは、収益に関わる大きな問題であり、なにより売却時の資産価値下落に繋がります。

これだけは避けなければなりません。

貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドラインの内容をしっかりと把握し、賃料減額の対象となる設備や減額割合について、契約書に明記するようにしましょう。  

特に人間が不愉快に思われる気温・水回り系のトラブルは、免責日数も少ない(エアコンは3日)ため要注意。

10万円以内の設備故障は、オーナーに連絡なしで修繕対応する旨も決めておくのもよいかもしれません。

設備故障の対応が遅いことなどを巡って入居者に不満を抱かせることとなり、退去を考えるきっかけになってしまっては元もこうもありません。

そこで少し宣伝になりますが、当社ではオーナー様にお得だと言われている設備保証サービスを月々1,100円(税別)を付けることができます。

築年数問わず一律料金の為、築年数が古い物件ほどお得な商品になっています。

古くなっているご自身の物件の空室対策と合わせてご検討いただけますと幸いです。

まずは当社の設備保証をご覧ください。

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監修者
西原 勇太【株式会社ランドネット】
西原 勇太【株式会社ランドネット】
賃貸仲介・管理をはじめ売買や開発に携わり、不動産の総合キャリアを構築。多角的な視点と提案でオーナーの賃貸経営をサポート!【資格】宅地建物取引士・公認 不動産コンサルティングマスター【不動産業界歴】17年

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