「サブリース会社がまた不祥事…」一括借り上げ契約をうまく使う方法とは【最新2024年】

賃貸市況

サブリースは、不動産会社が物件のオーナーから一棟まるごとを借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。

不動産会社は入居状況にかかわらず、オーナーに対し一定の家賃の支払いを保証されます。

しかし、不動産会社からオーナーへの家賃の支払いが重荷となり、オーナーへの賃料未納問題などのトラブルが発生するケースが多発していることもご存じでしょうか?

過去には不動産会社が経営破綻し、オーナーが多額の負債を背負ったというケースもあります。

サブリース契約はオーナーにとってどのようなリスクがあり、何に注意しなければならない契約なのでしょうか。

今回は、過去に起きたサブリース契約にまつわる事件を踏まえ、サブリース契約を上手に活用する方法についてご紹介します。

1.サブリース契約とは

サブリースとは、オーナーが所有する賃貸物件を不動産会社が一棟まるごと一括で借り上げ、不動産会社が貸主となって転貸する事業です。

不動産会社は入居率を問わず、物件全体の総賃料の80~90%をオーナーに支払います。

オーナーの手取りはやや割安にはなるものの、入居率の影響を受けずに家賃収入が得られるのはメリットです。

特に、入居者集めに特殊なノウハウが必要な地域ほどメリットが大きくなるため、多くの不動産オーナーがサブリース契約を結んでいます。  

一方、サブリース契約は契約期間が長期になる場合が少なくありません。

契約期間は一般的には10年、最長では35年ほどとされています。

入居率の低下などを理由に家賃の値下げやオーナーに支払う賃料の引き下げを強引に行うリスクが残ります。

2.サブリース契約にまつわる事件

サブリース契約は一見魅力的な契約ですが、過去には想定通りの賃貸経営ができず、オーナーが大きな損失を被ったケースがあります。

中には刑事罰が問われるほどの大事件が起きており、広くサブリース契約の危険性が取り沙汰されました。

1)女性向けシェアハウスでの賃料支払いストップ

2018年、ある不動産会社が銀行から受けた融資で建設した女性用シェアハウスを不動産投資家に販売し、サブリース契約を結ぶ事業を展開しました。

「賃料30年保証・利回り8%」という条件に引かれた不動産投資家が集まり、1棟あたり1億円以上の投資をしたといわれています。  

しかし、実際に建てられたシェアハウスの立地は悪く、賃料相場を無視した高額設定だったために入居者は40%程度しか集まりませんでした。

当然、不動産会社は賃料収入だけではオーナーへの支払いができず、やがてオーナーへの支払いが滞るように。

最終的には不動産会社が経営破綻を起こし、オーナーの手元には悪条件のシェアハウスと1億円のローンが残るという大惨事となりました。

この事件は工事会社から不当なキックバックを受けていた不動産会社と、審査書類を改ざんし不正に建設費用を融資していた銀行が引き起こした、不動産史上に残る大事件として記録に残っています。

2)【最新ニュース】区分マンションのサブリース会社における賃料未納

続いて、サブリースにまつわる2023年最新の不祥事をご紹介します。

中古区分マンションを販売するA社は、マンションの販売時にグループ会社であるB社が管理するサブリース契約をセットにしたマンションを複数のオーナーに販売していました。

B社は契約に基づき入居者へ転貸をしましたが、入居者から受け取る賃料以上の借り上げ賃料をオーナーに支払う契約を結んでいたため、いわゆる逆ざや状態となり、B社は他の営業利益で赤字を補填する状態が続きました。

2021年初旬にサブリース契約を結んで以降、しばらくはオーナーへの賃料支払いが滞りなく行われていました。

しかし2022年後半に初めてオーナーへの未納が発生。

23年1月には入金が完全に途絶えてしまい、オーナーからの連絡が通じなくなったといいます。  

A社はこの時点ですでにB社とのグループを解消していますが、説明時に提示されたA社の売上を信用してサブリース契約を結んだオーナーも多いため、A社の責任を問う声もあります。

この結果、B社は賃貸住宅管理業法違反により、2023年4月に15日間の業務停止命令が下されています。

尚、以下の記事の兆候があったら、即賃貸管理会社を変えることをおすすめします。

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3)賃貸住宅管理業法の施行後、初の行政処分

東京都内のサブリース会社C社は、賃貸住宅管理業法(以下、賃管法)違反のため15日間の業務停止命令が下されました。

この処分は、同法に対する違反を理由として下された初の行政処分となっています。

C社は特定賃貸借契約において59件、管理受託契約において8件の計67件で重要事項説明書を交付しなかったことを理由に賃管法違反が問われました。

また、別件における賃貸住宅管理業法への違反のため、業務改善命令への対応状況を国土交通省へ報告する義務を課せられています。

賃貸管理業者とサブリース業者の監督強化!全国一斉パトロールの詳細と結果を解説

3.サブリース契約を上手に活用するには

サブリース契約にまつわるトラブルは決して少なくはありませんが、サブリース契約そのものが問題ではありません。

あくまで物件を管理・運用する会社の問題であるケースが大半であり、良い不動産会社を選べば安定した収益を得られる契約形態といえます。

サブリース契約を上手に活用して収益を得るためにも、信頼できるパートナーを得るために知識を身につけることが大切です。

1)契約の条件を理解する

サブリース契約は賃貸経営の知識がない人でも利益を得られる手段として広まっていますが、実際にトラブルに見舞われているのは知識がないオーナーが中心です。

特にこれから紹介するサブリース契約特有の条件を理解しないまま契約を結んではいけません。

思うような収益を得られなくなったという方は少なくないからです。

賃料の見直し条項

サブリース契約において最もトラブルになりやすいのが賃料の見直しです。

サブリース契約は一般的に2年ごとに契約条件の見直しが行われ、直近2年間の賃貸経営成績を踏まえて借り上げ賃料が見直されます。

時には借り上げ賃料が大きく下がる場合もありますので、ある程度の収入減を予測した生活の計画を立てておく必要があるでしょう。

注意

サブリースだから空室リスク0になるという事はあり得ません。
空室が続けば収入が減った不動産会社が払うサブリース代が減るだけです。

免責期間に関する条項

一般的な契約では、最初の入居者を募集する期間や退去後の募集期間など、借り上げ賃料が発生しない免責期間が設けられています。

不動産会社が損失を出さないために必要な期間ではありますが、必要以上に長い期間を免責期間に設定されないように注意すべき項目です。

修繕・改修に関する条項

一般的にサブリース物件の修繕・改修の費用は、物件のオーナーが負担するように契約で定められます。

しかし、修繕・改修の内容やタイミングは不動産会社側で決められるような契約になっていると、不要な費用を払い続けることになりかねません。

不動産会社側が一方的に有利な契約内容にならないよう、事前に修繕に関する方針のすり合わせは必要です。

中には、借り上げ賃料の料率を下げる代わりに、修繕費用を不動産会社が負担する特約を結べる不動産会社もあります。

双方が納得できる取り決めになるよう、契約先はしっかりと吟味しましょう。

解約に関する条項

オーナーが臨む収入を得られない場合、オーナー側から解約を申し出るケースがあります。

しかし、契約内容がオーナー側の解約希望を拒否できる内容になっているような場合には要注意です。

解約は不動産会社側、オーナー側の両方が対等な条件で申し出られるような内容になっているか、条項を確認しておきましょう。

2)経験豊富な不動産会社を選ぶ

サブリース契約を結び物件を任せる不動産会社は、できるだけ実績が豊富な会社を選ぶのがオススメです。

サブリース契約は一般的に長期の契約になるため、契約期間中にどのようなトラブルが起きるのか予想がつきません。

突然退去者が続出するような事態も考えられますが、管理経験が少ない会社では十分な対応ができずに家賃収入を減らし、賃料の見直し時にオーナーに不利な条件を提示してくるかもしれません。

経験豊富な不動産会社は入居者集めの実績も豊富なため、地域や物件の特性に合った集客を行ってくれます。 またトラブルに対する対応も、過去の経験をもとにした適切な対処が期待できるでしょう。

3)リスクを十分に理解する

サブリース契約は安定した収入が得られる一方、管理委託にはない制約が多く設けられています。

原則としてオーナーは賃貸経営を全て任せられる反面、不動産会社の賃貸経営方針に意義を唱えられることはできず、問題のある管理体制であっても受け入れるしかありません。

また、前述の通り不利な条件の更新や一方的な解約が行われるおそれもあります。

「何もしなくてもいい」というイメージ以上のリスクがありますので、必要以上の損失を生まないような契約内容になるように注意が必要です。

まとめ

サブリースは、不動産会社が物件を一棟まるごと借り上げて賃貸経営をする委託契約の形式です。

オーナーは安定した家賃収入を得られる可能性がありますが、収益は委託する不動産会社の手腕に左右されやすく、中にはオーナーが負債を背負ってしまうようなトラブルに繋がった事例もあります。

サブリース契約を上手に活用するには、契約内容を十分に理解した上で良好なパートナーとなる不動産会社を選ぶのが大切です。

自分の手で賃貸経営を行いたいオーナーには、サブリースではなく管理委託を選ぶという選択肢もあります。

サブリースは賃貸管理委託契約のひとつでしかありません。

賃貸物件の管理を任せる際には、オーナー自身の希望にあった形の委託契約を選択しましょう。  

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監修者
稲田 正太【株式会社ランドネット】
稲田 正太【株式会社ランドネット】
賃貸仲介の会社で営業を4年間経験。入居者目線を取り入れた賃貸管理の提案で満室経営に導く!【資格】宅地建物取引士・土地活用プランナー【不動産業界歴】9年

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