消防設備点検の基本を解説:賃貸マンションオーナーの義務と責任とは?

設備故障

賃貸マンションオーナーにとって、消防設備の定期的な点検は法的義務です。

この義務を怠ると、火災発生時に損害賠償責任を負う場合があります。

本記事では、消防設備点検の必要性、点検対象設備、およびオーナーの法的責任について詳しく解説。

安全な賃貸物件管理のための実用的な情報をお届けします。

1.消防設備点検の対象となるマンションと点検頻度

消防法では、一定の規模以上の建物や共同住宅に消防設備点検を義務付けています。

では、どのようなマンションが消防設備点検の対象となり、どのくらいの頻度で点検を行う必要があるのでしょうか。

1)消防設備点検の対象となる建物

消防設備点検は、建物の規模や構造などによって有資格者による点検が必要になるケースと、資格がない者による点検でも認められるケースの2パターンに分けられています。

有資格者による点検が必要になるのは、次の条件に該当するマンションやアパートです。

点検義務がある物件
  • 延べ床面積が1,000㎡以上
  • 階段が建物の内部に1つあるのみで3階以上の階または地階に飲食店や販売店等の特定用途がある

  一方、延べ床面積が150㎡以上あるマンションやアパートの場合は、消防設備点検が義務付けられているものの、有資格者による点検でなくても問題はありません。

いずれの場合でも、消防設備点検は入居者に義務付けられたものではなく、建物を所有するオーナーの義務です。

したがって、賃貸マンションや賃貸アパートのオーナーは、所有する建物の規模や構造に応じ、適切な方法で消防設備点検を実施しなければなりません。

2)消防設備点検の頻度

消防法では消防設備点検の実施を義務付けているだけでなく、点検の頻度も規定しています。

消防設備点検には「総合点検」と「機器点検」の2つがあり、総合点検は12ヶ月に1回以上、機器点検は6ヶ月に1回以上実施する必要があります。

また、点検実施後は点検結果を維持台帳に記録し、3年に1回の頻度で管轄の消防署への報告が必要です。

3)消防設備点検に違反した場合の罰則

もし、消防設備の設置や点検の対象となるマンションを所有しているにもかかわらず、設備の設置や点検を怠った場合には、罰則が規定されています。

消防用設備の設置命令に違反し、必要な消防設備を設置していなかった場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

また、消防設備点検の報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合は、消防用設備等点検報告義務違反となり、30万円以下の罰金または拘留に処せられるのです。

2.消防設備点検の具体的内容

消防設備点検では、次のような設備の点検を行います。

1)消火器やスプリンクラーなどの消火設備

火災が発生した時に、消火を図るための機械や設備が消火設備です。 具体的には消火器やスプリンクラー、泡消火設備、水噴霧消火設備などが挙げられます。

点検では、消火設備が設置されているか、消火器の使用期限が切れていないか、消火設備が正常に使用できる状態であるかなどについてのチェックが行われます。

消火器の設置基準は延べ床面積が150㎡以上、または地階、無窓階、3階以上の床面積が50㎡以上の建物です。

また、11階以上のマンションの場合は、11階以上にスプリンクラー設備を設置しなければなりません。

2)自動火災報知設備・住宅用火災警報器

警報設備とは、火災を感知し、住民などに警報を発したり、警備会社などに通報を発したりする設備です。

自動火災報知設備は、火災の発生を熱や煙で検知し、警報や非常ベルなどを鳴らして建物内の人に火災を知らせる設備で、延べ床面積が500㎡以上の共同住宅に設置が義務付けられています。  

また、マンションの居室内に設置する住宅用火災警報器も警報設備の一つです。

消防設備点検では、自動火災報知設備のほか、各居室内の火災警報器の点検も行わなければなりません。

3)避難はしご

火災発生時に避難のために使用する設備も、消防設備点検の対象設備です。

避難はしごは、火災発生時に高層階から地上に避難するためのはしごで、多くのマンションではバルコニーにある避難ハッチ内に収納してあります。

点検時にはハッチ内に収納されている避難はしごを作動させ、本体に損傷がないかをチェックします。

また、避難器具と表示するプレートがあるかどうか、避難ハッチの周囲に物が置かれておらず、すぐに避難ハッチが開けられる状況にあるかどうかも点検項目です。

  避難はしごのほかにも、避難用設備にはすべり台や救助袋などがあります。

これらの避難器具は「2階以上の階または地階で、収容人員が30人以上」のマンション、または「3階以上のうち避難階または地上直通階段が1つのみの階で収容人員が10人以上」のマンションに設置が義務付けられています。

設置基準をしっかりと把握し、該当するようであれば必ず避難器具を設置するようにしましょう。

4)誘導灯と誘導標識

誘導灯と誘導標識も消防設備点検の対象となります。

誘導灯は、非常口や避難通路を示す発光式の表示板で、誘導標識は誘導灯を補助するために設置するパネルです。

非常口を示す誘導灯は緑色、非常口まで誘導する通路に設置する誘導灯は白地に緑色で示されます。

誘導灯は暗い道でも安全に逃げる方法を示せるように、蓄電池設備が内蔵されており、点検では蓄電池の動作もチェック対象となります。

また、誘導灯は常に点灯させ、非常時には安全かつ迅速に避難できる状態にしておかなければなりません。

5)排煙設備や連結送水管などの消火活動に必要な施設

排煙設備は、火災が発生した場合に建物内から生じる煙を建物の外に排出する設備です。

延べ床面積が500㎡以上のマンションの場合は、排煙設備の設置が必要です。

また、連結送水管は、消火活動の際に火災が発生した場所まで消火用の水を送るためのホースやノズル等で構成される設備で、平時は放水用器具格納箱に納められています。

7階以上のマンションや5階以上で延べ床面積が6,000㎡以上のマンションなどが連結送水管の設置基準対象となっています。

これらの設備も、いざというときに動作するかを消防設備点検でチェックします。

3.消防設備点検には入居者の協力も不可欠

前述のように、居室内に設置した火災警報器やベランダに設置している避難ハッチも消防設備点検の対象となります。

したがって、消防設備点検の際には入居者にも協力を依頼し、居室内の火災警報器やベランダの避難ハッチの点検に入ることを通知し、在宅をお願いしなければなりません。

せっかく消防設備点検を実施しても、ほとんどの居室に入室できなければ、十分な点検ができたとは言えません。  

万が一、火災の際に住宅用火災警報器が作動しなかったり、避難はしごが機能しなかったりしたために被害が拡大した場合は、オーナーに責任が問われる可能性もあります。

入居者には、消防設備点検を実施する理由をしっかりと説明し、協力を依頼するようにしましょう。

また、日頃から避難ハッチの付近に物を置いたりすることがないよう、定期的に注意を促すことも大切です。

4.消防設備点検を実施する際の注意点

マンションの延べ床面積の違いによって、消防設備点検のルールが異なることをご存じでしょうか。

消防設備点検を実施する際には、所有するマンションの延べ床面積に合わせた消防設備点検を実施するよう注意しましょう。

1)延べ床面積1,000㎡以上の消防設備点検は、有資格者に依頼を

延べ床面積が1,000㎡を超えるマンションの場合は、有資格者による消防設備点検を行わなければなりません。

管理会社に管理を委託していない場合には、消防設備点検資格者が在籍する業者を探し、点検を依頼しましょう。

日時が決定したら、入居者にも消防設備点検を実施する旨を通知し、協力を依頼しなければなりません。  

また、避難はしごの点検のため、避難ハッチ付近には物を置かないように改めて注意を促すことも大切です。

消防設備点検を業者に依頼する場合の費用は、居室の数や点検が必要な整備の数によって異なりますが、50戸程度のワンルームマンションであれば50,000円~100,000円程度が目安になるでしょう。

2)延べ床面積150㎡以上1,000㎡未満の場合は、オーナーによる点検も可

延べ床面積が1,000㎡未満のマンションの場合は、有資格者による点検をする義務はありません。

したがって、オーナー自身が消防設備の点検をすることもできます。

自治体によっては、オーナーが消防設備点検をしやすいようにマニュアルを用意しているところもあります。  

しかし、消防点検には専門的な知識や道具などが必要になるのも事実です。

例えば、加圧式消火器の場合は製造年から3年、蓄圧式消火器の場合は製造年から5年が経過している場合は、専門的な道具を用いた点検が必要になります。

また、誘導標識についても輝度計や照度計等の計測機器が必要になる可能性があります。  

消防設備点検は、火災が起きた時に建物や入居者を守るための点検です。

点検の本来の目的を達成できないままでは、いざというときに不安が残ります。

自分で点検をすることに不安を感じるようであれば、有資格者に点検を任せた方が安心でしょう。

まとめ

マンションやアパートでは、定期的な消防設備点検が必要です。

延べ床面積が1,000㎡以上のマンションの場合は有資格者が点検をしなければなりませんが、150㎡以上1,000㎡未満のマンションやアパートの場合は、有資格者ではなくとも消防設備点検は実施できます。

しかしながら、点検には専門的な知識が必要になるケースも多く、万が一の事態に入居者の命を守るためには、専門的な知識を持つ有資格者に点検を依頼した方が安心です。

  弊社では、消防設備点検についてのご相談を承っています。 消防設備点検の実施についてお悩みの場合は、お気軽に弊社までご相談ください。

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監修者
吉田 佳祐【株式会社ランドネット】
吉田 佳祐【株式会社ランドネット】
賃貸仲介と管理の両方を知る在籍10年超のベテラン!入居中のトラブルや滞納のお悩みなどあらゆる難題に手腕を発揮。【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・損害保険募集人一般【不動産業界歴】15年

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