オーナーが加入できる入居者の孤独死保険!賃貸での補償範囲やメリットは?

原状回復

日本では、急速な少子高齢化が進んでいます。 今後、安定した賃貸経営を続けていくためには、若い世代をターゲットとしている現状を見直し、入居者に求める条件を緩和しなければならない可能性もあるでしょう。

その選択肢の一つが、高齢者の入居受け入れです。 若い世代に比べて健康に不安が多い高齢者が室内で孤独死をしてしまうことに不安を感じ、入居者の年齢を制限している賃貸オーナーも少なくありません。

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そんなオーナーの不安を解消してくれるのが、保険会社から販売されている賃貸物件での孤独死に備えた保険です。 今回は、賃貸物件向けの孤独死保険のメリットや補償範囲などについてご説明します。

1.孤独死保険の2つの種類

保険会社が提供している孤独死保険には、主に「家主型」と「入居者型」の2つがあります。

家主型とは賃貸物件のオーナーが加入するもので、入居者型は入居者が加入する保険です。

1)入居者型の孤独死保険とは

入居者型の孤独死保険は、入居者が契約者となります。 入居者が亡くなった場合に、遺族や保証人などにかかる遺品整理費用や原状回復費用などの負担を補償する保険です。

入居時に入居者が加入する家財保険の保険料に含まれているケースと、オプションで付帯するケースがあります。

2)家主型の孤独死保険とは

家主型の孤独死保険とは、賃貸物件のオーナーが契約者となります。 オーナーが保険料を負担し、所有する物件内で入居者が亡くなった場合に生じるオーナー側の損失を補償するものです。

孤独死保険は、保険会社によって料金の設定が異なりますが、所有する賃貸物件1棟単位や保有する賃貸物件すべての加入が必要になります。

したがって、高齢者が加入している部屋だけ加入するといったことはできません。

大手の損害補償会社でも火災保険の特約として、孤独死の損害に備えた商品を発売しています。

また、家賃債務保証会社によっては、補償内容の中に孤独死が発生した場合の補償を含めているケースも出てきました。 それだけ、賃貸物件のオーナーに孤独死保険の需要が高まっているのだと考えることができるでしょう。

2.家主型孤独死保険の補償範囲

孤独死保険で補償される範囲は、保険会社や選択する商品によって変わります。

一般的に、家主型の孤独死保険の補償範囲は次の3つに区分できます。

1)損失家賃の補償

入居者が支払うはずだった家賃や、室内のリフォームが必要になったために空室となった期間の家賃など、孤独死によって生じた家賃の損失分が補償されます。

入居者募集の際、病気による孤独死の場合は、告知義務はありません。 しかし、亡くなってから遺体発見まで時間が経過し、特殊清掃が必要になった場合には入居者に事故物件であることを告知しなければなりません。

そのため、場合によってはなかなか入居を希望する人が表れず、空室が長引くこともあります。 保険商品によって家賃補償の期間は異なりますが、亡くなった日から6~12ヶ月程度の家賃損失を補償しているケースが多くなっています。

2)室内に生じた損害の原状回復費用

孤独死が発生した場合、発見が遅れると、室内に臭いが染み込んだり、体液が床下まで浸透したりすることもあります。

一般的な清掃方法で臭いや汚れを取り除くのが難しいことも多く、原状回復時には特殊清掃や壁紙の貼り替え、床板の交換などが必要になるケースが少なくありません。

そのため、1室あたりの原状回復費用は高額に上り、孤独死保険ではこのようなリスクに備え、孤独死が発生した際の原状回復費用を補償しています。

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3)遺品整理費用

孤独死は、急な死でもあるため、室内には入居者の遺品がそのまま残されています。

本来、遺品は遺族に連絡をして整理をしてもらうものですが、近しい親族がいない人や親族との連絡を絶っている人などもおり、遺品整理をしてもらえないケースも少なからずあるのが現状です。

孤独死保険では、遺族に遺品整理を任せられない場合でも、遺品整理にかかる費用の補償を行ってもらえます。

3.オーナーが孤独死保険に加入するメリットとは

入居者型の孤独死保険は、入居者が孤独死に備えて加入する保険です。

一方、家主型の孤独死保険は、オーナーが入居者の孤独死に備えて加入する保険であり、次のようなメリットがあります。

1)孤独死によって生じる損害をカバーできる

一般社団法人日本少額短期保険協会の孤独死対策委員会では、孤独死現状レポートを発表しています。

2022年に公表された「第7回孤独死現状レポート」では、孤独死発生に伴う平均損害額を次のように示しています。

※横スクロールできます。 

平均損害額

残置物処理(遺品整理)費用

235,839円

原状回復費用

381,111円

家賃保証

307,876円

損害額合計

924,826円

参照元:一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会「第7回孤独死現状レポート」 孤独死が生じた場合、平均すると90万円を超える損失が生じることが分かります。

しかし、孤独死保険に加入していれば、その大部分が補償されるのです。 今後、少子高齢化のスピードはますます加速すると考えられており、未婚率も高まっています。

今は現役世代の入居者も、いずれは高齢者になり、そのまま単身者向けの賃貸物件に入居を続けるケースも考えられるでしょう。

1戸あたり月額数百円程度の負担で加入できる孤独死保険に加入しておけば、急に90万円を超える損害が生じても収支に大きな影響を与えません。 孤独死が発生した場合の損害に備えられる点は、孤独死保険加入の最大のメリットです。

2)孤独死以外の損害も補償対象となる保険も

保険商品によって、孤独死保険の補償範囲には違いがあります。 商品によっては、賃貸物件の居室内で孤独死をしたわけではなく、病院など別の場所で入居者が亡くなった場合にも必要となる遺品整理の費用を補償するものもあります。

また、火災や落雷、水害などの自然災害で生じた損害も補償対象としているものもあり、小さな負担で、大きな補償を受けられる可能性があります。 孤独死保険に加入する際には、加入する保険の補償範囲と現在の火災保険の補償範囲をしっかりと確認することをおすすめします。

3)入居条件を緩和でき、安定した賃貸経営が実現

孤独死保険は、孤独死に関わる損害を補償する保険です。 実際には、高齢者だけが孤独死をするわけではありません。

年齢にかかわらず急な病気などで亡くなることはあります。 しかし、高齢になるほど健康不安が大きくなるために、賃貸オーナーは高齢者の入居を敬遠する傾向にあるのです。

核家族化が進む今、賃貸物件への入居を希望する高齢者は少なくありません。 これまで家賃の滞納履歴がない人であれば、高齢になったからといって家賃を滞納するリスクは少ないでしょう。

また、若い世代のように最新の設備や駅から近い物件などを希望する人も多くはなく、入居期間も長期に渡る傾向にあります。

孤独死保険を活用し、高齢者の孤独死の不安に備えられれば、高齢者の受け入れに対するハードルも下がるはずです。 孤独死保険に加入し、リスクヘッジをしたうえで高齢者の入居を受け入れれば、安定した賃貸経営を実現できる可能性が高まるのではないでしょうか。

まとめ

賃貸物件に入居を希望する高齢者は増加しています。 しかし、賃貸物件のオーナーは、高齢者の入居によるリスクを不安視することが多く、なかなか高齢者の入居を受け入れている賃貸物件はありません。

孤独死保険は、高齢者を受け入れる際の大きな不安材料である孤独死が発生した場合に備えた保険です。 1戸あたりの月々の保険料は数百円で抑えられるものの、万が一、孤独死が発生した場合には生じる損害のほとんどを保険金で賄うことができます。

高齢者を受け入れる賃貸物件は少ないことから、孤独死保険に加入し、入居者の年齢条件を緩和すれば、入居者を獲得しやすくなる可能性も高まります。

長期間、空室に悩んでいるようであれば、空室対策の一つとして孤独死保険に加入し、高齢者の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか。

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監修者
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