エアコンや給湯器など古い設備の交換はオーナーに義務がある?
設備故障

エアコンや給湯器など、室内の設備は入居者が変わるたびに新しいものに交換するわけではありません。
ただ、賃貸経営をしていると、入居者からさまざまな要求を受ける場合があります。
入居者の中には、「エアコンが古いから新しいエアコンに交換してほしい」「給湯器が古くなったから新しいものに付け替えてほしい」といった要求をする人もいるでしょう。
賃貸物件のオーナーとして、エアコンや給湯器が古いといった理由で新しいものへの交換を求められたら、交換に応じる義務はあるのでしょうか。
今回は、古い設備の交換義務についてご説明します。
目次
1.賃貸物件のエアコンや給湯器が古いと言われたときの対処法
入居者や入居希望者から、所有する賃貸物件のエアコンや給湯器などの設備が古くなっているために交換してほしいと言われたら、オーナーとしてどのように対処すれば良いのでしょうか。
1)賃貸物件のエアコンが「古い」だけではオーナーに交換義務はない
まず、賃貸物件についているエアコンや給湯器などが壊れているわけではなく、古いという理由だけでオーナーが交換に応じる義務はありません。
一方、賃貸物件の設備が経年劣化等によって故障し、使えなくなった場合には、使用できなかった日数や使用できなくなった箇所に応じて家賃を減額しなければなりません。 これは2020年4月の民法改正で変更されたルールです。
しかし、民法改正で示されたのは、故障によって使用できなくなった場合を問題にしたものであり、設備が壊れているわけではなく、古いだけではオーナーに交換義務はありません。
ただし、あまりに古いエアコンや給湯設備の場合、交換に応じなければ退去に繋がったり、入居申し込みの辞退に繋がったりするリスクもあるでしょう。
そのため、設備が古い場合には、エアコンや給湯器などの状況、入居者との関係などを鑑みながら慎重な判断が必要になります。
2)エアコンが古いという訴えの裏には不具合があることも
入居者からエアコンが古いために交換をしてほしいと訴えがあった場合、単に古く見えるからという理由ではなく、古いと感じる症状が表れているために要求を出している場合もあります。
エアコンは作動するものの、エアコン本体の運転音が大きかったり、室外機から異音が聞こえてきたりしている場合は、故障の可能性があります。
また、冷房時に冷風は出ているものの水漏れがしているような場合も、故障している可能性が考えられます。
エアコンが古いために交換してほしいと要求を受けた場合には、なぜそのような要求を出したのか、理由を聞いてみることも大切です。
異音や水漏れなどが発生している場合は、エアコンの製造年などを確認し、交換をするか、修理をするかを検討し、適切に対応するようにしましょう。
3)エアコンがカビ臭い場合はクリーニングの検討が必要
エアコンが古いために交換してほしいと言われたときには、エアコンをつけたときのカビ臭さが原因になっているケースもあります。
エアコンの冷房運転では、室内の空気を吸いこみ、エアコン内部で空気を冷やすしくみです。 そのため、空気がエアコン内で冷やされると、エアコン内部で結露が発生するのです。
内部の湿気が多くなれば、カビが発生しやすくなります。 エアコンがカビ臭い場合、カビによって健康被害を引き起こすリスクもあります。 また、カビ臭いエアコンでは、使用するたびにストレスを感じ、快適に生活することはできないでしょう。
入居者からエアコンのカビ臭さを指摘されたときには、エアコンのクリーニングを実施するとカビの臭いを除去することができます。
4)給湯器が古いと言われたら?
給湯器の耐用年数は10年程度だと言われています。
故障をしていなくても、お湯の温度が安定しにくい、お湯になるまで時間がかかる、リモコンにエラーが表示される、などの症状が見られれば、給湯器の寿命が近づいている証拠かもしれません。
古いという訴えだけでなく、使用に不安を感じるような症状が見られる場合には、点検や交換を検討した方が良いでしょう。
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2.賃貸オーナーに古いエアコンや給湯器の交換義務がある場合
賃貸オーナーに、所有する賃貸物件の古いエアコンや給湯器などの交換義務が発生するのは、以下両方の条件を満たす場合です。
- 設備が残置物や入居者の所有するものではなく、付帯設備である場合
- 古いだけでなく、故障している場合
部屋の付帯設備であるエアコンや給湯器などが故障した場合は、オーナーに修理や交換義務があります。
賃貸借契約書や重要事項説明書に設備として明記しているものについては、オーナーに修理や交換の責任があるのです。
しかし、前入居者のエアコンや入居者が持ち込んだエアコンなどは、オーナーに交換義務は発生しません。
また、設備が古いものの、まだ問題なく使用できる状態であれば、オーナーは交換に応じる必要はありません。
3.古い設備は、故障する前に交換すべき
エアコンや給湯器などが古くなっても、使える状態であれば交換する義務はありません。 しかし、設備が故障して使用できなくなってしまえば、入居者に不便をかけるだけでなく、前述のように家賃を減額しなければならない決まりもあります。
安心して住んでもらうためにも、設置からだいぶ時間が経過している設備の場合や、不具合が見られる設備の場合は、故障する前に交換をすると良いでしょう。
エアコンや給湯器などの耐用年数は10年です。 部品の保存期間は製造打ち切り後、7~8年が一般的であり、10年を超えた製品の場合は、修理しようとしても部品がないために修理ができないケースも少なくありません。
猛暑の夏にエアコンが壊れて使用できなくなったり、極寒の冬に給湯器が壊れてお風呂に入れなくなったりとなれば、入居者の不満も大きくなるはずです。
設備が一定の年数を経過した場合や、入居者から不具合の報告があった場合には、故障する前に新しいものに交換した方が良いでしょう。
4.新しい設備を導入する際の注意点
古いエアコンや給湯器などの設備を交換する際には、次の点に注意しましょう。
1)費用対効果を考えて新しい製品を選ぶ
新しいエアコンや給湯器は、さまざまな機能が付加されているものもあります。 入居者からエアコンや給湯器の交換を申し入れられ、製造年などを考慮したうえで交換に応じるケースもあるでしょう。
しかし、入居者の要望に応じて、さまざまな機能が付加された高スペックの設備に入れ替える必要はありません。 賃貸物件の設備としてのエアコンであれば、冷房、暖房、除湿機能がついているベーシックなグレードで十分です。
それでも以前の設備よりグレードアップした設備への交換を求められた場合は、家賃の値上げの検討が必要になることも伝えましょう。
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2)設備交換には撤去費用と処分費用、取り付け費用がかかる
全く何もないところに新たにエアコンを設置するのであれば、かかる費用はエアコン本体の代金と取り付け費用です。 しかし、古いエアコンを取り外して新しいものに交換するときには、エアコンの撤去費用と処分費用、取り付け費用がかかります。
新しいエアコンを選ぶ際には、商品代金に加え、撤去と取り付けの両方の工事料金がかかることを忘れないようにしましょう。
また、エアコンを交換する場所によっては、室外機の設置が一人でできないために別途追加の工事が必要になるケースもあります。
3)設備の交換費用は経費として計上する
設備の交換費用が20万円以上の場合には資本的支出として、減価償却ができます。
また、20万円以下の場合は、修繕費として経費計上が可能です。 経費として計上すれば、所得額を圧縮できるため、確定申告の際には忘れずに経費計上をするようにしましょう。
まとめ
エアコンが古いから交換してほしいと入居者から言われたら、すぐに交換に応じる必要はありません。 オーナーが古い設備の交換に応じる義務があるのは、設備が使用できない状態になった場合です。
まだ使える設備であれば、交換する必要はありません。 しかしながら、不具合が生じていたり、設置から年数が経っているような設備の場合は、壊れる前に交換しておくと安心です。 ただ、設備故障は急に発生するものです。
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