共用部に放置された入居者の私物はどう撤去する?対策を賃貸オーナー向けに解説
近隣トラブル

マンションの廊下や階段などは共用部であり、入居者が私物を置くことはできません。
しかし、中には共用部に私物を放置する入居者もいます。 もし、入居者が共用部に私物を放置した場合、オーナーはどのような対処をすべきなのでしょうか。 今回は、マンション共用部に放置された私物対策について解説します。
目次
1.マンションの共用部、私物の放置は厳禁
マンション共用部には、入居者の私物などを置いてはいけません。
なぜなら共用部は、入居者全員が使う場所でもあり、災害発生時の避難経路としても使用する場所だからです。
1)マンション共用部は入居者全員が使用する場所
マンションの共用部は、マンションの住民全員が使用する場所です。
共用部とはエントランスや廊下、階段、ゴミ置き場、ベランダなどを指します。
共用部分は住居として利用できる専用部分とは異なり、入居者全員が使用できる場所であるため、一部の人が共用部に私物を置くなど、自由に使用することはできません。
そのため、一部の入居者が共用部分を私的に利用した場合、他の入居者からのクレームにつながる可能性があります。
2)消防法でも禁じられている!共用部での私物の放置
廊下や階段、ベランダ、エントランスなどの共用部は、火災などの災害が発生した際の避難経路でもあります。
消防法では、避難経路となる共用部に物を置いてはいけないことを定めています。
もし、廊下や階段に私物が置かれ、スムーズな非難ができなかった場合、被害が拡大する可能性があるでしょう。 そのため、管理者は廊下や階段などに物が放置されることがないように管理しなければならないのです。
また、条例によっては共用部分に物を置くことを禁止している場合もあります。 マンションの共有部は、入居者全員が利用する場所であり、防災の面からも私物の放置を見過ごしてはいけない場所です。
3)マンションの共用部、管理は誰の責任?
分譲マンションの場合、共用部分の管理は管理組合が管理を委託したマンション管理会社が行います。
一方、賃貸マンションの場合は所有者であるオーナーに管理責任があり、入居者が共用部分に私物を置くことがないよう、適切に対応する必要があるのです。 ただし、委託管理をしている場合は、管理会社が対応をするため、オーナーが対処する必要はありません。
2.マンション共用部分でよくあるトラブル
マンション共用部でよくあるトラブルには、次のようなものがあります。
・玄関前の廊下に自転車を止めている
・玄関前にベビーカーや三輪車を置いてある
・玄関前やベランダに植物を置いている
・廊下にゴミを出しっぱなしにしている
・廊下や非常階段の手すりに洗濯ものを干している
・ベランダに荷物を山積みしている
・廊下にプラスチックの収納ケースが置かれている
共用部分に私物が放置されていれば、他の入居者からクレームが入る可能性もあります。
また、私物放置をそのままにしておくと、他の入居者も廊下や玄関前に荷物を置くようになるかもしれません。 私物放置を見つけた場合には適切な対処が必要です。
3.共用部への私物放置があった場合の対処法
入居者が廊下などの共用部に私物を放置していた場合、オーナーが物を移動させることは可能です。
しかし、移動にあたって私物に傷をつけてしまったり、壊してしまったりした場合は、責任の矛先がオーナーに向かう可能性があります。
そのため、共用部に私物が置かれていた場合には、オーナーが移動させるのではなく、入居者に自主的な対応を促すよう段階的に対処した方がよいでしょう。
マンション共用部に私物が置かれていた場合にオーナーが取るべき対処法をご説明します。
1)写真を撮影し、証拠を残す
共用部に私物が置かれている状況を発見した場合や、入居者からクレームが入った場合は、状況確認後、証拠を残すために私物が置かれている状態を写真で撮影します。
写真の撮影日時も記録されるため、スマートフォンで撮影するとよいでしょう。
2)口頭または書面で注意を促す
次に、共用部に私物を置いている入居者に、文書で私物の撤去を求めます。
共用部は、避難経路確保のために消防法で私物を置くことが禁じられていることを示したうえで、私物を撤去してほしい旨を依頼しましょう。
その際、いつまでに撤去を完了してほしいのか対応期限も示し、期限が過ぎても放置されている場合にはオーナーが撤去することを記載します。
直接、会って話ができる場合には口頭で注意しても問題はありませんが、口頭での注意は証拠が残りません。 口頭で撤去を求める場合にも、作成した文書を手渡しするとよいでしょう。
3)撤去期限後に確認し、私物が残っているようであれば撤去する
期限日になったら私物が撤去されているかを確認します。 撤去されていれば問題ありませんが、放置されているようであればオーナーが私物を撤去します。
その際、私物は撤去したこと、撤去した私物は期限までオーナーが保管していること、保管期限を過ぎたら処分することを文書で通知しましょう。
4)保管期限後の対応
私物の保管期限を過ぎても入居者からの連絡がない場合、オーナーの判断で処分をします。
ただし、高価な私物を勝手に処分した場合、民法の自力救済禁止の原則に違反する可能性があります。
入居者が家賃を滞納したまま行方不明になった場合などでも、部屋に残った私物をオーナーが勝手に処分することはできません。
これと同様に、共用部にあった私物をオーナーの判断で処分すると自力救済禁止の原則に違反すると訴えられ、トラブルになる可能性があるのです。 そのため、処分は慎重に行う必要があります。
4.マンション共用部の私物トラブルを避けるためにできること
マンション共用部の私物問題は、他の入居者からクレームが入るだけでなく、撤去を巡って入居者とのトラブルに発展する恐れがあります。
また、火災発生時などにスムーズな非難ができなければ、オーナーの責任問題に発展する可能性もあります。
マンション共用部の私物トラブルを避けるためには、日頃から次のような対策をしましょう。
1)共用部分への私物放置を禁ずる旨を契約時にしっかり説明する
賃貸借契約を結ぶ際に、廊下や玄関前、ベランダをはじめとした共用部分への私物の放置を禁ずることをしっかりと説明し、入居者の理解を得るようにしましょう。
入居者の中には、「玄関前に少し荷物を置くだけなら問題ないのでは」と、悪気なく物を置いてしまうケースもあります。 法律違反にあたることを説明し、私物を放置しないように依頼しましょう。
2)私物の放置を見かけたらすぐに対処する
1人の入居者が玄関の前に私物を放置していたら、他の入居者も真似をして私物を廊下に置く可能性があります。
少しでも私物を置いている様子が垣間見られた場合には、黙認することなく、できるだけ早めに対応し、常に共用部に物が置かれないような状態を維持することが大切です。
3)管理委託を利用する
前述のように、私物が放置され撤去を求めても入居者が応じない場合には、オーナーが代わりに撤去をする必要がありますが、いつまでも入居者の私物を保管し続けるわけにはいきません。
しかし、勝手に処分することでトラブルが発生する可能性もあります。 自主管理の場合は、どのように対応すべきか頭を悩ます問題となるでしょう。 自主管理ではなく、管理会社に管理を委託すれば管理会社の担当者が共用部の私物放置に関するトラブルにも適切に対応するため、オーナーにかかる負担はありません。
現在、自主管理をされているようであれば、信頼できる管理会社への管理委託を検討してみてはいかがでしょうか。
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マンションの共用部に私物が置かれている場合、他の入居者からクレームが入る可能性があるだけでなく、火災発生時などに十分な避難経路を確保していなかったとしてオーナーの責任が問われる可能性があります。
したがって、共用部の私物に関しては黙認することなく、早いタイミングで管理会社に相談・通知をするなどの行動に移したほうが良いでしょう。
同じ問題になるアパートに放置の自転車は勝手に撤去できる?処分方法を紹介も併せてご覧ください。
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