賃貸管理のトータル費用は?不動産会社に委託した場合のコストを解説

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管理委託のトータル費用は、賃貸オーナーにとって気になるところです。

本記事では、賃貸管理にかかる主な費用項目と相場、管理会社選びの際に注意すべきポイントについて詳しく解説します。

1.賃貸管理を委託する場合にオーナーが負担する費用

賃貸管理を専門の会社に委託する際、オーナーはさまざまな種類の費用を負担することになります。

それぞれの費用はなぜ支払う必要があるのか、内訳を見ていきましょう。

1)管理手数料

管理手数料は、管理業務を委託する賃貸管理会社に支払う費用です。

委託を受けた管理会社は、主に次のようなサービスを提供します。

  • 家賃の集金と送金
  • 入居者からの問い合わせ対応
  • 建物の定期的な点検
  • 軽微な修繕の手配
  • 各種書類の作成と管理

管理委託を受けた管理会社は、オーナーに代わって賃貸経営に必要な業務を行います。

2)清掃費用

清掃費用は、賃貸物件の共用部分の清掃、エレベーターや駐車場といった付帯設備の保守管理にかかる費用です。

清掃には、以下のような作業が含まれます。

  • エントランス、廊下、階段の定期清掃
  • エレベーターの保守点検
  • 駐車場や自転車置き場の管理
  • 共用部分の電球交換
  • ゴミ置き場の管理と清掃

ただし、清掃の頻度や範囲については、契約によって異なる点に注意が必要です。

清掃を委託することにより、賃貸物件は常に清潔な状態に保たれ、入居者は快適な生活を送れるようになります。

その結果、物件の魅力が上がり、賃貸経営にもよい影響を及ぼすでしょう。

3)原状回復費用(ハウスクリーニング)

原状回復費用は、前の入居者が退去後、部屋を次の入居者を迎えられる状態に戻すために必要な費用です。

原状回復には次のような作業が含まれます。

  • 床、壁、天井の清掃
  • キッチン、浴室、トイレの洗浄
  • エアコンのフィルター清掃
  • 小規模な補修(壁の穴埋めなど)
  • 畳の表替えや襖の張替え(必要に応じて)

原状回復の範囲と費用負担は、入居時の契約内容や退去時の物件の状態によって変わります。

近年では法的解釈の変化により費用負担の範囲が変化しているため、最新の情報を把握しておくことが重要です。

4)広告(AD)費用

AD費用は、空室を埋めるために行う広告宣伝のための費用です。

効果的な広告は空室期間を短縮し、安定した収入を確保しやすくなります。

主な広告手段は以下の通りです。

  • 不動産ポータルサイトへの掲載
  • 地域情報誌やフリーペーパーへの掲載
  • チラシやポスターの作成と配布
  • SNSを活用した広告

管理会社の中には、独自のウェブサイトやネットワークを活用して効率的な集客を行うところもあるため、利用できる広告の種類を確認しておきましょう。

5)仲介手数料

仲介手数料は、新たな入居者を見つけた際に不動産仲介業者に支払う手数料です。

仲介会社は仲介手数料を受け取ることによって、次のようなサービスを提供してくれます。

  • 物件の紹介と内見の案内
  • 入居希望者の審査補助
  • 契約手続きのサポート
  • 物件情報の広告掲載

仲介手数料の相場は通常、家賃の0.5~1カ月分程度ですが、地域や物件の特性によって変動することも。

良質な入居者を確保することは長期的な経営の安定につながるため、この費用は重要な投資と捉えることができます。

2.賃貸管理に必要な費用の項目別相場

賃貸管理に必要な費用には、ある程度の相場があると考えられています。

ただし、地域や物件の状態、サービス内容によって金額は上下するため、あくまで目安として参考にするのをおすすめします。

1)管理手数料

管理会社に支払う管理手数料は、一般的に「家賃の3~5%」程度が相場であるといわれています。

原則として入居中の物件に対してのみ管理費用が発生します。

家賃10万円の部屋が10戸あるうち8戸のみ入居している場合の管理手数料は、

10万円 × 8戸 × 3~5% = 24,000~40,000円程度になるのが相場です。

ただし、高級物件や管理に手間がかかる特殊な物件の場合は、6~8%程度の手数料が求められる場合があります。

2)建物清掃費用

清掃にかかる費用は、日常的に物件内を清掃する「日常清掃」と、不定期に汚れやすい場所を集中的に清掃する「特別清掃」に分けられます。

日常清掃は月に数回、管理会社の清掃員が物件の共用部やごみ置き場の清掃、電球の点検などを行います。

費用は物件の規模と清掃回数ごとに金額が定められており、大きな物件を頻繁に清掃するほど発生する費用は高額です。

日常清掃の費用の相場は以下の通りです。

戸数 月1回 月2回 月4回
~10戸 5,000~7,000円 10,000~12,000円 14,000~18,000円
~15戸 7,000~10,000円 15,000~17,000円 17,000~22,000円
~20戸 9,000~12,000円 12,000~18,000円  18,000~25,000円

 

特別清掃は、日常清掃では落としきれないような汚れを落とすために行われます。

特殊な薬品を使った清掃が行われるため、費用はやや高額です。

特殊清掃が行われるのは年に1、2回程度であり、オーナーは特殊清掃に向けた積立をしておくのが一般的。

特殊清掃で行われる清掃の項目と費用の相場は以下の通りです。

費用は㎡単位で算出されることが多いため、建物の大きさに比例して費用が増えます。

清掃の項目 金額
外壁の高圧洗浄 150~200円/㎡
床のポリッシャー洗浄・ワックス掛け 100~200/㎡
床の剥離洗浄・ワックス掛け 350~500/㎡
ガラス洗浄 100~150/㎡

3)原状回復費用(ハウスクリーニング)

原状回復は、前の住人が入居する前の状態に戻すことを意味します。

室内をきれいに清掃し、居住している間に傷んだ壁や設備などを修繕・回復するための費用は、退去時の部屋の状態によって金額が大きく異なります。

一般的に、1K程度の広さの部屋に必要な原状回復費用の相場は以下の通りです。

項目 費用
ハウスクリーニング 20,000~30,000円
クロスの張り替え(天井、壁)  30,000~50,000円
排水管清掃 15,000~20,000円
エアコンの交換 50,000~100,000円
IHコンロの交換 50,000~80,000円
給湯器の交換 80,000~150,000円

上記の金額は、壁紙を張り替える範囲や壁紙の素材、交換する設備の価格によって前後します。

原状回復を行う頻度が多い場合にはハウスクリーニングだけで済むケースが多いですが、入居年数が長い人が退去した際には、設備の交換も視野に入れる必要があるでしょう。

4)広告(AD)費用

広告(AD)は、原則として仲介会社が主導で出稿する内容を選びます。

広告にはさまざまな手法がありますが、一般的にはオーナー側から注文をつけることはなく、預けたAD費用の中で適切な広告を運用してもらうように委託します。

広告(AD)費用とは、オーナーが不動産会社に支払う仲介手数料とは別で発生する料金です。

追加で広告を出すために必要で、時期によって必要な金額が変動します。

1~3月は進学・異動が多く、広告を積極的に出さなくても入居者が決まりやすいため、費用を安く抑えられます。

反対に4月以降の閑散期には、高額のAD費用を用意しておかなければ、入居者を集めにくくなる傾向も。

入居者が決まるまでにかかるAD費用の相場は、おおよそ家賃の1~3カ月分程度と考えておくとよいでしょう。

5)仲介手数料

仲介会社に支払う仲介手数料は、家賃の額を基準に算出されます。

家賃の0.5~1カ月程度が一般的な相場です。

宅建業法により仲介手数料は「家賃の1カ月分+消費税が上限」かつ「借主が承諾した場合を除き1カ月分の家賃の2分の1まで請求できる」とされているため、借主の承諾を得られない場合は、0.5カ月分はオーナーの負担となります。

3.管理費用の年間支出シミュレーション

ここまでは物件の管理費用の相場について解説してきました。

では相場を基準に、実際にどの程度の管理費用がかかるのかシミュレーションしてみましょう。

  • 家賃8万円の1K×10戸
  • 管理手数料は家賃の5%
  • 年間を通じて8戸は常に入居
  • 2戸はそれぞれ2カ月の空室期間あり
  • 日常清掃は月1回7,000円で依頼
  • 原状回復費用はハウスクリーニングのみ、1回25,000円
  • 仲介手数料は1部屋につき家賃0.5カ月分を負担

上記の条件で年間に発生する管理費用は以下の通りです。

項目 金額
管理手数料 80,000円×(8戸×12カ月)+(2戸×10カ月)×5%=464,000円
建物清掃費用 7,000円×12カ月=84,000円
原状回復費用 25,000円×2回=50,000円
仲介手数料 80,000円×0.5カ月×2回=80,000円
合計 678,000円

※全て税抜

上記の条件でオーナーが得られる家賃収入は、80,000円×(8戸×12カ月)+(2戸×10カ月)=9,280,000円です。

この試算では、家賃収入の約7%の管理費用が発生しています。

この割合は物件の特性や管理方針によって大きく変動します。

例えば、入退去が多い物件のため広告を多く出稿したり、清掃の頻度を上げる場合は、さらに多くの費用が発生します。

また、このシミュレーションに含まれていない賃貸経営に必要な費用には、以下のものがあります。

  • 固定資産税
  • 火災保険料
  • 特別清掃費用
  • 設備の交換費用
  • 大規模修繕積立金
  • 建築費用の減価償却

これらの費用を考慮すると、オーナーが得られる収益はさらに低くなる可能性も。

収入と支出の額を意識した賃貸経営を心がけるとよいでしょう。

 

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まとめ

賃貸管理を管理会社に委託する際には、管理費用を含めたさまざまな費用が発生します。

管理会社は賃貸経営に関わる各種手続きを代行するだけでなく、物件の清掃や入退去時の原状回復の手配、設備の交換などにも対応。

管理を委託するには一定の費用がかかりますが、オーナーの負担を大きく低減する働きが期待できます。

賃貸管理をスムーズに行いたいオーナーは管理委託を検討するとよいでしょう。

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監修者
吉田 佳祐【株式会社ランドネット】
吉田 佳祐【株式会社ランドネット】
賃貸仲介と管理の両方を知る在籍10年超のベテラン!入居中のトラブルや滞納のお悩みなどあらゆる難題に手腕を発揮。【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・損害保険募集人一般【不動産業界歴】15年

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