値上げラッシュで家賃も高騰!オーナーが賃料を改定する方法は?
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物価・人件費・不動産など、近年あらゆるものの価格が上がるなか、主要都市を中心に賃貸住宅の家賃相場も上昇傾向がみられます。
インフレの波に乗り、家賃を引き上げられれば、オーナーはキャッシュフローの改善が見込めるでしょう。
しかし、家賃の値上げは非常にデリケートな問題です。
手順を誤った家賃値上げは、新規入居者を集めにくくなるだけでなく、既存の入居者とのトラブルに発展するリスクも潜んでいます。
本記事では、家賃を値上げするための適切な手順や法的根拠について、賃貸住宅のオーナー向けに解説します。
目次
1.主要都市の家賃は右肩あがり
「実際に家賃相場は上がっているのか?」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、都市部を中心に賃貸住宅の家賃は上昇傾向にあります。
主要都市である東京、大阪、福岡における直近10年間の家賃推移を見てみましょう。

(全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」より当社作成)
上記のグラフが示すように、主要都市部の家賃は右肩上がりです。
とくに東京では2023年以降、大幅な増加傾向を見せています。
家賃動向はエリア・築年数・間取りによって変動しますが、市場全体として家賃が上昇基調にあることは、オーナーが家賃改定を検討するひとつの材料となるでしょう。
2.家賃値上げが認められる法的根拠

入居者との間で賃貸借契約を結んでいる場合、その契約期間中は原則として契約時の条件が維持されます。
しかし、借地借家法第32条で定められた「賃料増減請求権」の要件を満たせば、一定の条件下においてオーナーから家賃の増額を請求することが認められています。
引用借地借家法 第32条
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。
ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
引用:e-Gov「借地借家法」
この条文によると、家賃の値上げが法的に認められやすくなる要件には以下が該当します。
- 固定資産税などの税負担が増加した場合
- 土地や建物の価格が上昇した場合
- インフレなどの経済事情の変動があった場合
- 周辺の類似物件の家賃相場と比較して現在の家賃が著しく低くなっている場合
ただし、契約時に一定期間家賃を値上げしない特約を結んでいる場合には、上記の条件に当てはまっていても家賃の見直しは難しいでしょう。
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3.家賃値上げにともなうリスクと注意点

家賃値上げは収益改善のチャンスである一方、安易に行えば一定のリスクを伴います。
値上げ時にはどのような点に注意すべきかを見ていきましょう。
1)入居者満足度の低下と退去
大きな懸念点のひとつが、現入居者の退去です。
不明確な理由による値上げや、説明が不十分なままの値上げは「一方的に値上げされた」という不信感につながり、早期退去を引き起こしかねません。
退去が発生すると、空室期間の家賃収入が途絶えるだけでなく、原状回復費用や、新規募集のための広告費用・仲介手数料といったコストが発生します。
仮に月6万円の家賃を5,000円値上げできたとしても、退去によって1カ月空室になれば、それだけで12カ月の値上げ分が損なわれてしまう計算になります。
2)空室長期化の可能性
新規募集時に設定した家賃が物件の価値や市場相場に見合っていない場合、次の入居者が決まらずに空室が長期化するリスクもあります。
とくに、築年数が古く設備が旧式の物件や、すでに周辺の類似物件と比較して家賃が高めの物件、適切な修繕やリフォームが行われていない物件などは、値上げによって競争力が低下し空室リスクが高まる可能性も。
これらの物件で無理に値上げを行うと、入居者が見つからず、結果的に値下げをせざるを得なくなるかもしれません。
4.家賃値上げのリスクを回避する3つの方法

リスクを最小限に抑えながら円満な賃料改定を目指すためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
ここでは、3つの具体的なリスク回避策を紹介します。
1)適切なタイミングと明確な根拠の提示
値上げをお願いするタイミングを見極め、その根拠を明確に示すことが円満な値上げに繋がります。
周辺の家賃相場が明確に上昇しているデータがある時や、物件価値を高めるリフォーム・大規模修繕を実施した後、契約更新の時期などが、比較的話を進めやすいタイミングといえるでしょう。
「物価が上がったから」「周辺の家賃が上がっている」という抽象的な理由だけでは、入居者に理解してもらうのは困難です。
根拠を具体的に示しながら、一方的な通告ではなく「お願い」「相談」という姿勢で理解を求めることが、円満な値上げに必要な姿勢といえます。
2)入居者との良好な関係構築と丁寧な交渉
日頃から入居者との良好な関係を築き、丁寧な交渉を心がけることも、リスク回避に繋がります。
賃貸経営はオーナーと入居者の信頼関係の上に成り立っており、普段からの丁寧なコミュニケーションが基盤となります。
問い合わせへの迅速な返信、設備の不具合への誠実な対応、共用部分の清掃といった日々の管理業務を丁寧に行うことが、いざという時の交渉をスムーズに進める助けとなるでしょう。
値上げ交渉の際も、決して高圧的な態度を取らず、相手の状況や意見にも耳を傾ける姿勢が重要です。
準備した根拠を丁寧に説明し、理解を求めましょう。
また、必ずしも要求通りの値上げ額で合意できるとは限りません。
状況に応じて、値上げ幅を少し譲歩したり、実施時期を調整したり、段階的な値上げを提案したりすることも有効です。
3)賃貸管理会社へ相談・委託
家賃の値上げに向けた準備や入居者との交渉には、専門的な知識や経験、そして多くの時間と手間がかかります。
オーナー自身による対応が難しいようなら、専門家である賃貸管理会社に相談し、対応をすべて委託するのも有効です。
賃貸管理会社は複数の物件の管理を通じ、豊富な経験を蓄積しています。
最新のデータや地域の賃貸動向を把握しており、ご自身の物件の適正な家賃相場、値上げの妥当性、最適な値上げのタイミングについて、的確な判断材料を提供してくれます。
「今の状況で値上げすべきか?」「いくらまでなら上げられる可能性があるか?」といったオーナーの疑問に対し、専門的な知見から適切な回答をしてくれるでしょう。
また、経験豊富な賃貸管理会社は、入居者への効果的な説明方法や合意形成のための交渉ノウハウを持っています。
交渉の代行を委託できれば、オーナー自身の心理的な負担や時間的なコストを大幅に軽減しながら、家賃の値上げを実現できるかもしれません。
もちろん、希望に添う形での値上げを目指してオーナー自身が交渉を行うことも可能です。
しかし、入居者との直接交渉に不安を感じたり、本業が忙しく時間の確保が難しかったりするようなら、賃貸管理会社への相談・委託に大きなメリットを感じられる場合があります。
どちらの方法がご自身の状況に適しているか、検討してみる価値はあるでしょう。
まとめ

近年、物価・人件費・不動産価格の上昇を背景に、賃貸住宅の家賃も値上がり傾向にあります。
主要都市である東京・大阪・福岡の家賃は右肩上がりが続いており、とくに突出しているのが東京です。
家賃の値上げは物件の収益増に直結するため、多くのオーナーが積極的に検討する一方、入居者の生活に直接影響を与えるデリケートな問題。
退去や空室長期化のリスクを避けるためにも、慎重な判断が求められるでしょう。
家賃値上げを成功させるためには、借地借家法に基づいた正当な理由と根拠を示しながら、丁寧な説明と交渉を心がけることが必要です。
もし、これらの値上げ額の判断や入居者との交渉に不安がある場合は、賃貸管理会社の利用を検討しましょう。
賃貸経営の専門家である賃貸管理会社への相談や委託は、値上げにともなうリスクを回避し、円滑な賃料改定を実現するための有効な手段となるはずです。
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