【賃貸経営】空室率の目安は?種類や計算方法を解説
賃貸市況

賃貸経営において、空室率を低く抑えることは、収益性を高めるうえで非常に重要な課題となります。
空室率は何を基準に求めるかによっていくつかの種類に分けられますが、賃貸経営を行うオーナーの中には、空室率の正しい計算方法をご存じない方もいらっしゃいます。
実は空室率の計算方法は3つもあります。
今回は、安定した賃貸経営の実現のために知っておきたい空室率の目安と計算方法についてご紹介します。
目次
1.空室率の種類と計算方法
空室率とは、所有する物件の部屋の総数に対して、入居者のいない空室の部屋の割合のことです。
空室が発生すれば家賃収入を得られません。 そのため、空室率を低く抑えることは賃貸経営の基本となります。
しかし、空室率と一口に言っても、どのような基準で算出するかによってその値は変わってきます。
ここでは、賃貸経営で用いられることの多い3種類の空室率の特徴と計算方法をご説明します。
これから紹介する空室率の数字が大幅に違いますので、その点を注意深く見てもらえると幸いです。
1)現時点をベースとした空室率
現時点をベースとした空室率とは、今を基準にした空室率です。
現時点の空室率は単純な計算で求められるため、不動産会社などでもよく利用されています。
しかしながら、この現時点の空室率は、今という瞬間的な時間における空室率を表したものであることに注意が必要です。
特に引越しの多いシーズンには空室率が高くなる時期の場合は、大幅に数値のずれが大きくなる可能性が高いです。
そのため、年間の収益を計算すべき賃貸経営においては、必ずしも適切な計算方法であるとは言い切れません。
現時点をベースにした空室率は、大まかな空室率を把握するときの値であると認識しておきましょう。
現時点の空室率の計算は次の式で求められます。
現時点空室率=空室戸/総戸数×100
10戸ある物件のうち、現時点で2戸が空室となっている場合の空室率は20%となります。
2)稼働をベースとした空室率
上に紹介した現時点をベースとした空室率では、瞬間的な空室率しか計算することができません。
賃貸経営では、年間を通してどのくらい収益を得られるのか、より現実的な空室率を求める必要があります。
稼働をベースとした空室率とは、1年間でどのくらい空室になっている部屋があったかを示す数値です。
賃貸経営では、家賃収入が発生している日を稼働日とします。
したがって、稼働をベースとした空室率は、次の式で計算できます。
年間の空室数×空室日数/(総戸数×365日)×100
例えば、10戸ある賃貸物件で年間2室の空室があり、それぞれ空室期間が60日であった場合。
2×60÷(10×365)×100=3.28%が空室率なります。
また、それぞれに90日に空室期間が延びれば空室率は4.93%。
年間3室の空室があり、空室期間が60日であった場合の空室率も4.93%です。
この計算から分かるように、稼働ベースの空室率は分子となる年間の空室数が少なく、空室日数が短くなるほど低くなる計算方法になります。
3)賃料をベースにした空室率
賃料をベースにした空室率は、家賃の回収に焦点を当てた空室率の計算方法です。
全ての部屋が同じ家賃の物件の場合は、稼働ベースの空室率でも問題が生じることはありません。
しかし、部屋によって間取りや広さに違いがあり、家賃が異なる場合には空室日数だけに注目した空室率では、問題が生じます。
そこで実務で使用する賃料をベースにした空室率は部屋ごとに家賃が違うような場合によく用いられる計算方法。
家賃の回収率を求めることができる空室率です。
(満室時の年間想定賃料収入―実際の年間賃料収入)/満室時の年間想定賃料収入×100
満室の場合、年間120万円の家賃収入が想定される賃貸物件で、実際には100万円の賃料収入しか得られなかった場合の空室率は、(120万円-100万円)/120万円×100=16.7%となります。
2.空室率の目安はどのくらい?
空室率の計算方法が分かっても、目安とすべき空室率の値が分からないと、空室対策を講じた方がよいのか、今のままでも問題ないのか判別できない場合もあるでしょう。
では、空室率はどの程度を目安に考えればよいのでしょうか。
1)空室率の目安は20%?
賃貸経営では、20%程度の空室率を目安にするとよいと言われることがあります。
それは、国土交通省が調べた「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要」の結果によるもので、この調査の中で賃貸住宅の空き家の割合は18.5%であるとされているのです。
しかし、10戸の部屋がある賃貸物件の場合、年間の空室率が20%となると、年間を通して2室の空室が続くという計算になります。
20戸の部屋がある物件であれば、年間を通して4室が空室のままになってしまうということです。
この状況から考えると、空室率20%という値を目安にすると、収益性は決して高くないことが分かるでしょう。 総務省「平成30年住宅・土地統計調査」
2)エリアによっても空室率の目安は異なる
前述の調査結果による全国の賃貸物件の空室率の平均は18.5%ですが、都道府県別のデータを見ると、空室率は地域によって偏りがあります。
また、全国賃貸住宅経営者協会連合会では、「住宅・土地統計調査」の調査結果をもとに「民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き家戸数並びに空き室率の推計」を公表しています。
このデータでは、全国の賃貸住宅の空室率を21.4%としたうえで、都道府県別の空室率を算出しています。
東京都の空室率は17.1%であり、最も空室率が低い沖縄県の数値は13.4%です。
反対に、空室率が高い方から見ると山梨県の空室率は31.8%、和歌山県は30.9%とエリアによってかなりの開きがあることが分かります。 全国賃貸住宅経営者協会連合会「民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き家戸数並びに空き室率の推計」
3)賃貸物件の構造によっても空室率は異なる
空室率は、建物の構造によっても異なります。 株式会社タスが2022年10月に発表している「賃貸住宅市場レポート(首都圏版 関西版・中京圏・福岡版 )」によると、木造や軽量鉄骨造りのアパートの方がマンションよりも空室率は高い傾向にあることが示されています。
例えば、東京都の場合、2022年3月のマンションの空室率は約9%ですがアパートの空室率は28%程度となっています。
同様に、大阪府の同時期のマンションの空室率は約8%ですが、アパートの空室率は27%程度です。
その他のエリアにおいても、木造や軽量鉄骨造りのアパートの場合は、マンションに比べて空室になりやすいことが示されています。
4)空室率の目安を考えるときに大切なこととは
国土交通省が公表している「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要」によると、全国の空室率は18%程度です。
しかしながら、エリアや建物の構造などにより、空室率は大きく異なることを踏まえ、エリアや物件の構造に応じた空室率を目安とし、目標とする入居率を設定しましょう。
まとめ
賃貸物件の空室率を計算する際には、年単位で計算することが大切です。
したがって、今というポイントにおける空室率の計算ではなく、稼働をベースとした空室率や賃料をベースにした空室率の計算方法を用い、より現実的な空室率を算出するようにしましょう。
空室率の目安を考える際には、エリアや物件構造などの情報も鑑みながら、適切な額に設定することをおすすめします。
現実的な空室率を目標に設定することで、取るべき空室対策も明確になってくるでしょう。
同時に空室率を関係してくる平均住居期間については、賃貸の平均居住期間はどれくらい?長く住んでもらう方法を伝授をご覧ください。
その賃貸管理のお悩み…
ランドネットにお任せください!
- 1棟アパート・区分マンションの空室対策に特化
- 入居率99.07%(2025年5月1日現在)
- 首都圏メインに全国16エリアで管理
- 管理戸数9,188戸(2025年5月1日現在)
- 管理手数料は月額賃料の3.3%〜
満室経営を全面的にサポートします。
まずは『無料相談』をご利用下さい!