賃貸の庭は誰が草むしりする?雑草処理の方法や善管注意義務を解説
原状回復
戸建て賃貸には、庭がついているケースがあります。
また、アパートやマンションでも1階部分に庭がついている場合があるでしょう。
庭付きの物件は開放的なイメージから、ガーデニングを好む入居者や小さな子どもを持つファミリー世帯などに好まれる傾向にありますが、春から夏にかけての時期は植物の生育も旺盛な時期で庭の雑草が生い茂ります。
では、賃貸物件の庭の草むしりは、誰がすべきなのでしょうか。
今回は、賃貸物件の庭の管理に関わる善管注意義務や、雑草の処理方法などについてご説明します。
目次
1.賃貸物件の庭の草むしりをすべき人とは

賃貸物件の庭に雑草が生い茂ると、虫が大量に発生するなどのトラブルが発生しやすくなります。
気持ちよく生活をするためにも、庭の管理は大切です。 賃貸物件では、どの場所に雑草が生えているかによって、庭の管理をすべき人が変わってきます。
1)戸建ての庭は入居者の責任で管理
戸建て賃貸の場合は、建物と庭を一緒に貸し出すというイメージになります。
したがって、庭の管理や雑草処理も入居者の責任の下で行わなければなりません。
国土交通省が発表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、庭の雑草は入居者の負担であることが示されています。
ただし、賃貸借契約の締結時に、庭の管理はオーナーがすると決められている場合は、この限りではありません。
2)賃貸アパート・マンションの専用庭は入居者の責任で管理
賃貸アパートや賃貸マンションの1階部分に入居者専用の庭がついている場合も、庭の管理責任は入居者にあります。 そのため、草むしりも入居者が行うことになります。
3)賃貸アパート・マンションの共用庭はオーナーの責任で管理

賃貸アパートやマンションの共用部分に庭がある場合は、オーナーが管理をしなければなりません。
また、敷地内の共用部分に雑草が生えている場合も、オーナーの責任で草むしりや雑草処理が必要になります。
2.戸建てや共同住宅の専用庭を入居者が管理する理由
入居者の中には、庭がついた賃貸物件に居住していても、草むしりはオーナーの責任で行うものという認識を持っている人もいます。
しかし、前述のように賃貸物件の専用庭の管理責任は入居者にあります。 なぜ、賃貸物件の専用庭は入居者に管理責任があるのでしょうか。
1)民法で定められた善管注意義務
民法400条では「債権の目的が特定物の引き渡しであるときは、債務者は、その引き渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。」と定めています。
これは、一般的に「善管注意義務」と呼ばれるルールで、上の条文を賃貸物件に当てはめると、債務者に該当する入居者は一般常識に則り、注意しながら借りている物件を保存しなければならないという意味になります。
2)庭も部屋同様に原状回復義務がある

善管注意義務は多くの場合、賃貸物件の専有部分である室内を使用するにあたっての入居者の注意義務だと捉えられます。
しかしながら、専用庭がついた物件の場合は、庭も専有部分に含まれるのです。
したがって、入居者には庭にも善管注意義務が求められます。 また、入居する前にきれいに整った庭であれば、退去時も入居時と同程度のきれいな状態にしておかなければなりません。
庭も部屋同様に原状回復義務があるのです。
3)入居者とのトラブルを避けるための対策
入居者によっては、庭についても善管注意義務が求められることを知らずに、オーナーに対して草むしりをしてほしいと要求するケースや、庭の雑草を巡るトラブルが起きるケースがあります。
入居者と庭を巡るトラブルを避けるために、賃貸借契約を締結する際は庭の手入れ責任が入居者にあることをしっかりと伝えることが大切です。
また、その際に、庭の状態に合わせた雑草の処理方法なども伝えると、入居者も庭の管理がしやすくなるでしょう。
3.手軽な雑草処理のやり方とは

雑草処理のやり方には、大きく分けて「草を刈る」方法、「草をむしる」方法があります。 また、庭が広く、自分で草むしりをすることが難しい場合は、専門業者などに依頼することも可能です。
1)効率的な草刈りの方法
草刈りは、鎌や草刈り機を使って行います。 面積が広い場合は、草刈り機の方が一気に刈り取れるため便利でしょう。
いずれの場合も、雑草が伸びすぎてしまうと草刈りの負担は大きくなるため、雑草が伸び切る前に草刈りをすることが大切です。
また、梅雨時は一気に雑草が成長するため、本格的な夏が始まる前に一度草刈りをしておくと、次回の草刈りの負担も軽減することができます。
2)草むしりのやり方

草は大きくなってしまうと、根も成長するために抜くのが大変になります。 そのため、草むしりも草刈りと同様に、草が伸び切る前に草むしりをすることが大切です。
草むしりには、土が柔らかくなった雨の数日後が適しています。 水で土が柔らかくなると雑草が抜けやすくなるため、雨が降らない場合は草むしりをする箇所に水をまいて、土を湿らせると草むしりをしやすくなります。
また、草を根こそぎ抜ける草取りフォークなどのグッズも使うと、草むしりの負担を軽減できるでしょう。
3)除草剤を使用する

ペットの飼育を可能にしている賃貸物件などでは、ペットに害を与える可能性があるためおすすめしませんが、除草剤も手軽に雑草を除去できる薬剤です。 除草剤の使用を許可する場合は、その旨も事前に入居者に伝えておくとよいでしょう。
4)防草シートを敷く

砂利などが敷かれている庭の場合は、砂利の下に防草シートを敷いておくと雑草が生えにくくなります。 共用部分など、オーナーの草むしりの負担が大きくなるような場所にも防草シートを敷くとよいでしょう。
5)業者に草刈りを依頼する

庭の面積が広い場合や雑草が大きく伸びてしまった場合など、草むしりや草刈りの負担が大きくなります。
その場合には業者に草刈りを依頼してもよいでしょう。 共用部分の草刈り費用は、管理責任があるオーナーが負担しますが、専用庭の草刈り費用はオーナーが負担する必要はありません。
草刈り費用の目安は1㎡あたり3,000円~4,000円程度です。 それほど高額になるわけではないため、草むしりや草刈りの労力が負担になるようであれば、年に数回、業者に依頼して物件の周辺をきれいに保つのもよいでしょう。
まとめ

賃貸物件において、専用庭は入居者、共用庭はオーナーに管理責任があります。 入居者は、賃貸物件に対して注意を払って物件を保存する善管注意義務を負っており、専用庭付きの戸建て物件やアパート、マンションなどを借りる場合、庭の草むしりもしなければなりません。
ただし、入居者によっては、庭付きの物件に住んでも、庭の管理はオーナーに責任があると考えているケースもあります。
庭の雑草を巡るトラブルに発展する恐れもあるため、賃貸借契約を締結する際には庭の管理責任がどちらにあるのかを明確に示すようにしましょう。
雑草処理の方法には、草を刈ったり、むしったりする方法のほか、除草剤をまいたり、防草シートを敷いたりといった方法があります。
庭付きの賃貸物件を所有している場合は、退去時に庭を巡る原状回復についてトラブルが発生するケースもあります。 草むしりや庭の管理でお困りの場合や庭を巡るトラブルに悩まれている場合は、お気軽に弊社までご相談ください。
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