【退去精算】仕組みや費用相場を解説!退去トラブルを避けるためにオーナーが知るべきことは?
貸したい
賃貸経営において、借主の退去は付き物です。
退去時は退去精算がありますので、トラブルにならないために退去費用の相場を理解し、原状回復費用を正しく請求する必要があります。
本記事では、退去費用の仕組みや相場、原状回復費用の負担区分、トラブル回避方法について解説します。
目次
1.退去費用が支払えない?退去精算時のトラブルは多い
独立行政法人 国民生活センターによると、賃貸住宅の敷金・原状回復トラブルで寄せられた相談件数は、2021年で12,677件と公表されています。
「敷金が返金されない」「敷金を上回る金額を請求された」などの退去精算に関する相談が多く寄せられています。
参考:独立行政法人 国民生活センター 賃貸住宅の敷金・原状回復トラブル
1)退去費用とは?仕組みを解説
アパートやマンションを出るときにかかる退去費用とは、原状回復やハウスクリーニングでかかる費用を指します。
原状回復とは、借主の故意・過失や善管注意義務違反、通常使用を超える使用をして生じた損耗・毀損部分を修繕することです。
ここで注意したいのは、入居時と同じ部屋の状態まで回復させるという意味ではないということ。
設備は経年劣化や通常使用で損耗するものなので、あくまでも原状回復は「借主の責任によって生じた損耗・毀損部分を修繕すること」となりますので注意しましょう。
なお、オーナーと借主の負担区分については国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定められていますので、後ほど解説します。
ハウスクリーニングとは、退去後に専門業者が行う清掃作業のことです。
ガイドラインではオーナー負担とされていますが、特約によって借主負担としているケースが多くあります。
まとめると退去費用とは、借主の故意・過失による修繕費用とハウスクリーニング費用を合わせた費用です。
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2)退去費用の相場
契約内容によって退去費用は異なるので決まった金額はありませんが、部屋の広さや間取りによっておおよその相場があります。
| 間取り | 退去費用の相場 |
| 1R、1K、1DK、1LDK | 家賃1カ月分~1.5カ月分 |
| 2K、2DK、2LDK | 家賃1.5カ月分~2カ月分 |
| 3K、3DK、3LDK以上 | 家賃2カ月分~ |
一般的には間取りが広くなるほど退去費用も上がります。
上記表はあくまでおおよその目安です。
相場を大きく超えた退去費用の請求は、退去トラブルの元となりますので注意しましょう。
3)退去費用を支払えない入居者が多い理由
部屋を退去する際に入居者にも一定の費用が発生しますが、退去費用を支払えないケースが少なくありません。
いつかは部屋を退去するとわかっているにもかかわらず、なぜ退去費用を支払えない入居者がいるのでしょうか?
敷金で足りると思っている
退去にかかる費用が敷金の範囲内で充当できれば余った分を返金しますが、超えてしまう場合、借主は退去費用を支払う必要があります。
通常使用している場合は敷金の範囲で収まるケースが多いのですが、借主による損耗や毀損がある場合には敷金を超えて請求する場合も少なくありません。
入居中に発生した室内の汚損・破損などは退去後でなければオーナーも確認できないので、部屋の状態によっては原状回復費用が敷金で収まらないケースも考えられます。
敷金ゼロの物件も増えている
入居ハードルを下げるための取り組みとして、敷金ゼロで契約できる物件が増えています。
ただ敷金ゼロで契約した場合、借主は退去費用を全額用意する必要があるため、負担が大きく支払えないといった方も一定数います。
契約時に退去費用の説明をしていない
賃貸借契約時では、退去費用の説明をしたうえで契約を締結するのが通例です。
ただし、退去費用の説明がないまま契約を締結するといったケースもみられます。
賃貸借契約書に退去にかかる金額や負担区分などが記載されているので借主自身でも確認できますが、見慣れない言葉が多いため読まないで契約する方もいます。
入居者の認識のズレにより、退去トラブルになるおそれがありますので、退去費用についても契約時に説明しておきましょう。
2.国土交通省のガイドラインによる原状回復費用の判断基準

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(以下「ガイドライン」)は、退去時の原状回復費用をめぐるトラブルが多いことから、原状回復にかかる費用負担のルールを明確にし、賃貸借契約の適正化を図るために作成されました。
原状回復をめぐるトラブルの未然防止と円滑な解決を目的とし、契約や退去の際に貸主・借主双方があらかじめ理解しておくべき一般的なルールを示したものです。
ガイドラインという名の通り法的な拘束力はありませんが、裁判例を踏まえて作成されていることから、行政や消費者相談の場でも多く活用されています。
1)経過年数を考慮する
ガイドラインでは借主の故意・過失等による損耗であっても、経年変化や通常損耗が前提になっています。
経年変化や通常損耗の分は借主が家賃として支払っているものとされ、退去時に負担すべき費用には含まれません。
設備の減価割合は法人税法における減価償却資産の考え方を採用しているため、退去時の借主負担については経過年数が考慮され、年数が多いほど負担割合が減少します。
例えばクロス(壁紙)の場合、償却年数は6年で残存価値1円となるような直線を描き、経過年数によって借主の負担が決まります。
ただし経過年数を超えた設備であっても、継続して使用できるものを借主が使用不能としてしまった場合には、本来機能していた状態まで戻さなければなりません。
クロスに落書きするなどの善管注意義務に違反した場合には、消すためにかかる工事費や人件費などは、借主が負担します。
2)入居年数も考慮
ガイドラインでは、新築物件の賃貸借契約でない場合、経過年数を入居年数で代替する方式を採用しています。
設備によって補修・交換の時期は異なり、それらの履歴をオーナーが完全に把握しているケースが少ないことや、経過年数を示されても借主は確認できないためです。
一方で入居年数であれば、オーナー・借主双方にとってわかりやすく明確です。
入居時点の設備は、新築や交換、張り替えの直後でなければ価値が100%のものばかりではないので、状況に合わせて経過年数を考慮する必要があります。
なお入居時点の設備価値に関しては、オーナーと借主が確認のうえ、協議して決定することが適当とガイドラインでは定められていますが、実務はそううまくはいかないでしょう。
過去の履歴が残っていなければ判断がつかないため、全ての設備においてこの方法が適用できるとは限りません。
よって、補修・交換の度に記録をとっておくこともおすすめします。
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3)特約が優先される場合も
基本的に原状回復における費用の負担は、経年劣化を修復する分はオーナー負担、故意・過失による損耗や毀損は借主負担とされています。
しかしオーナーと借主双方の合意があれば、特約で通常損耗分の補修費用を借主の負担とする契約を締結することは可能です。
原状回復について特約を設ける場合は、借主の負担範囲と金額を明示したうえで、通常以上の負担をする契約内容であることを認識してもらう必要があります。
ただし、通常の修理費用の相場を大きく上回るような特約は無効とされるおそれがあります。
借主に一方的な負担を与えないよう注意しましょう。
3.原状回復費用は誰がどう負担する?
原状回復の費用負担は、一般的な使い方をしても発生する設備の経年変化や通常損耗については、オーナーの負担と定められています。
一方で、借主の使い方次第で起きる故意・過失、善管注意義務違反による損耗等は、原状回復義務が発生するため、借主の負担とされています ここでは、設備ごとにオーナーと借主の負担となるケースをお伝えします。
ただし一般的な事例であるため、実際の費用負担はケースバイケースです。
あくまでも費用負担の参考としてご確認ください。
1)オーナーの負担となるケース
経年劣化によるキズや生活するうえで必ずつくような汚損・破損などの修繕費用は、オーナーが負担するとガイドラインで定められています。
畳・フローリング・カーペット
- 次の入居者確保のための畳の裏返し・表替え
- 物件の維持管理のためのフローリングのワックスがけ
- 家具設置による床のへこみや設置跡
- 日照や建物構造欠陥によるフローリングの色落ち
キズに強く、1枚ごとに部分張り替え可能な床材もありますので、原状回復費用を抑えるためには検討しても良いでしょう。
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壁・天井・クロス
- テレビや冷蔵庫の後部壁面の電気ヤケ
- 壁に貼ったポスターや絵画の跡
- 借主のエアコン設置による壁のビス穴・跡
- 日照などの自然現象によるクロスの変色
- ポスターやカレンダー等を貼ったときの画鋲・ピン等の穴
日照などの自然現象による壁・クロスの変色は、普通に生活していれば起こり得るので通常使用の範囲とされています。
クロスにも様々な種類があり、劣化や日焼けを抑制できるものやマジック汚れを簡単に落とせる製品もありますので、長い目で見ると交換費用を安く抑えられるでしょう。
建具等・ふすま・柱
- 次の入居者確保のための網戸の張り替え
- 地震で破損したガラスの交換
- 構造によって自然発生した網入りガラスの亀裂
自然災害や自然発生したものは借主の責任ではなく、オーナー負担とされています。
設備・その他
- 部屋全体のハウスクリーニング
- 喫煙等による臭いが付着していない場合のエアコン洗浄
- 台所やトイレ等の消毒
- 次の入居者確保のための浴槽・風呂釜等の交換
- 入居者入れ替わりによる鍵の取り替え
- 経年劣化による設備交換
設備機器の故障や寿命によって使用不能となる場合は、経年劣化による自然損耗なので、オーナーが負担します。
2)借主の負担となるケース
入居中に発生したすべてのキズや汚れをオーナーが元通りにする必要はありません。
通常の生活ではつかないキズや、清掃・メンテナンスを怠ったことで発生した汚損・破損の補修費用については、借主が負担します。
畳・フローリング・カーペット
- 引っ越し作業や家具設置の際に生じたひっかきキズ
- 畳やフローリングの色落ち
- 落書き等の故意による毀損
- 飲み物や食べ物等をこぼした後の手入れ不足によって発生するシミやカビ
- 冷蔵庫下に付着したサビ
経過年数は考慮せずに原則1枚単位の交換です。
カーペットやクッションフロアは、6年で残存価値が1円となるため、負担割合を算定する必要があります。
なお、毀損等が複数箇所にわたる場合は1部屋単位の交換です。
ローリングは原則㎡単位ですが、経過年数は考慮しません。
毀損等が複数箇所にわたる場合は1部屋単位の交換で、床全体を張り替えるときは、建物の耐用年数で残存価値1円となる負担割合を算定します。
耐用年数は構造によって異なり、木造は22年、軽量鉄骨造は27年、鉄筋コンクリート造は47年と定められています。
参考:減価償却資産の耐用年数表
壁・天井・クロス
- タバコ等のヤニや臭い
- 壁・天井・クロスのくぎ穴やネジ穴
- クーラーから発生した水漏れを放置したことで壁・クロスが腐食した場合
- 天井に設置した照明器具の跡
- 結露を放置したことで拡大したシミやカビ
クロスは㎡単価が望ましいのですが、借主が毀損させた箇所を含む一面分までは、張り替え費用を借主負担としてもやむを得ないものと定められています。
なお、部屋全体がタバコ等のヤニで変色し、臭いが付着している場合のクリーニングやクロス張り替え費用は借主の負担。
建具等・ふすま・柱
- 飼育ペットによるひっかきキズや臭い
- 落書き等の故意による毀損
ふすま紙や障子紙は消耗品なので、経過年数は考慮されません。
そのため、張り替え費用は全額借主の負担とするのが妥当とされています。
設備・その他
- 日常の不適切な手入れによる毀損
- 鍵の紛失、破損による取り替え
- 戸建て賃貸住宅の庭に生い茂った雑草の放置
- ガスコンロ置き場
- 換気扇等の手入れ不足によって生じる油汚れや煤(すす)
- 風呂・トイレ・洗面台などの清掃を怠ったことによって生じるカビ
鍵の紛失は経過年数を考慮せずに、交換費用は借主負担です。
その他の流し台やエアコン、インターホンなどの設備は、ものによって耐用年数が異なります。
耐用年数によって残存価値1円となる負担割合を算定します。
4.アパートやマンションの退去トラブルを回避するには

賃貸借契約で借主と一番トラブルになりやすいタイミングは退去時です。
原状回復をめぐってオーナーとトラブルになるケースが少なくありません。
ここでは、アパートやマンションの退去トラブルの回避方法を3つお伝えしますので、参考にしてください。
1)原状回復費用の内訳を提示する
オーナーは原状回復にかかった費用を、借主にも提示しましょう。
原状回復費用の内訳が不明な状態で請求しても、本当に正しい金額なのかわかりません。
内訳が不透明だと借主はオーナーに対して不信感を抱くことがあります。
具体的に「何に」「いくら」かかったのか、費用の根拠を明示すると退去トラブルの回避に繋がります。
2)契約時に退去精算について同意を得る
原状回復にかかる費用は退去時に借主が一定の負担をするものなので、負担範囲や原状回復工事の目安単価などをオーナーは契約時に説明し、双方納得のうえで契約を締結しましょう。
退去時のトラブルは、オーナーと借主の原状回復に対する認識のズレから生じるケースが大半を占めています。
賃貸借契約書に退去精算の負担を明記し、認識のズレがないよう契約時に同意を得ておくと、退去時にトラブルになる可能性が低減するでしょう。
3)管理会社に委託する
ガイドラインに則した原状回復費用の請求をするには、借主の故意・過失や入居年数、設備の設置年数や経年劣化などを考慮して、費用を算出しなければなりません。
その為設備交換やクロスの張り替え時期をオーナー自身で把握しておく必要があるでしょう。
退去時の原状回復費用をめぐるトラブルは多いので、借主と揉めないためには正確に計算する必要があります。
管理会社であれば、物件の設備交換や修繕時期の記録はもちろん、経過年数などを考慮した原状回復費用の計算に慣れています。
不要なトラブルを避けるためには、管理会社はオーナーの心強いパートナーになってくれるでしょう。
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まとめ
賃貸経営をしていく中で、退去費用に関するトラブルが最も多いといっても過言ではありません。
その理由には、退去費用に関しての認識のズレやガイドラインに則していない請求など、様々なことが考えられます。
オーナーの計算違いによって退去費用請求が不当な場合、民事調停や少額訴訟といった法的措置を借主がとることもあるので注意が必要です。
不要なトラブルを起こさずに、正確な費用を請求するためにも、管理会社に委託することをおすすめします。
ランドネットは、不要なトラブルなどでオーナー様の手を煩わせないようしっかりとサポートします。
賃貸経営でお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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