入居を断られる同性カップル!LGBTの部屋探しで賃貸オーナーにできることは?

賃貸市況

性的少数者を表す言葉であるLGBT。

近年はあらゆる場所でLGBTへの理解が進んでいるといわれますが、実際には賃貸物件を借りる際に苦労するなど、行動が制限されるケースも少なくないようです。

LGBTを住人として受け入れる側であるオーナーは、LGBTに対しどのような認識を持っているのでしょうか。

今回はLGBTの部屋探しに対する賃貸オーナーの反応や行動について、統計データを元にご紹介します。

1.LGBTカップルは部屋を借りにくい?

LGBT同士による同性カップルは、異性同士のカップルに比べ賃貸物件を借りにくいといわれています。

2023年現在、日本では同性婚は認められておらず、法律上の夫婦になれるのは異性同士のカップルのみです。 日本においては夫婦に与えられる権利が尊重されており、社会保障や税制面でさまざまな優遇を受けられます。

また、結婚はしていないものの夫婦に近い関係である事実婚(内縁関係)も、住民票への登録や公正証書の作成といった手続きを踏むことで、ある程度の優遇を受けられるようになります。

異性同士のカップルに対する制度が充実している一方、同性カップルに対する公的な保障はあまり多くないのが現状です。

届け出の上での関係だけでなく、形にはみえない「社会的信用」という面においても、夫婦や事実婚に比べると決して高いとはいえません。

賃貸物件を借りる際には「同性カップルだから」という理由で拒否されるケースは少ないようですが、友人同士のルームシェアと同程度の社会的信用と判断されてしまうため、借りられる物件の選択肢は減る傾向にあります。

1)LGBTを「応援したい」賃貸オーナーは37.0%

こうしたLGBTカップルに対し、賃貸オーナーはどのような認識を持っているのでしょうか。

賃貸物件情報サイト「SUUMO」を運営する株式会社リクルート住まいカンパニーが2018年に行った「不動産オーナーのLGBTに対する意識調査2018」のLGBTを応援したいという質問に対して以下のようになりました。

「当てはまる」を選んだオーナーが15.1%

「やや当てはまる」が21.9%となり、合計37.0%のオーナーに応援の意思があることがわかりました。

中でも30代オーナーは54.8%、40代オーナーは41.9%が応援する意思を表明していることから、LGBTへの理解は若い世代を中心に広がっていることがうかがえます。  

また、同性同士のカップルの入居に対する感覚は、ルームシェアと大差ないことが分かりました。

男性同士の同性カップルの入居希望に対し「特に気にせず入居を許可する」としたオーナーが36.7%に対し、男性同士のルームシェアは34.9%とほぼ同等の結果に。

女性同士の同性カップルを39.3%のオーナーが受け入れるのに対し、女性同士のルームシェアの受け入れは39.8%と、男女間でも大きな差はありませんでした。  

本調査は2018年時点のもののため、LGBTに対する議論が活発になっている2023年においては、さらに受け入れの姿勢が強まっていると予想されます。

LGBTカップルに対する対応はまだ完全に平等とはいえませんが、若い世代を中心に徐々に当たり前に受け入れる姿勢が根付いていると考えられるでしょう。

2)LGBT向けパートナーシップ制度を導入する自治体が増加

民間におけるLGBTに対する意識が変化していると同時に、自治体によるLGBTへのサポートが充実する気配を見せています。

2015年11月5日、東京都渋谷区と世田谷区が同時に同性パートナーシップ証明制度をスタートしました。 これは同性同士のパートナーシップが婚姻と同等の権利を持つことを承認し、区独自の証明書を発行するという制度です。

この2つの区を皮切りに、その後同性パートナーシップ証明制度は全国に広がりを見せています。  

LGBT情報サイト「みんなのパートナーシップ制度」の調査によれば、2023年4月時点では日本全国で278の自治体で同性同士のパートナーシップが証明されるようになりました。

2020年4月時点の50自治体からわずか3年で約5倍にまで広がったことを考えると、LGBTの人々が持つ権利が広く認識されてきていることがうかがえます。

こうした動きに伴い、同性パートナーシップ証明を受けた同性カップルが借りられる賃貸物件を紹介する制度も登場しています。

まだ同性パートナーシップ証明を導入していない自治体も多く、制度の内容も自治体によって異なりますが、LGBTの当事者が暮らしやすい社会を作ろうという意思が確実に社会を変化させているといえるでしょう。

2.LGBT支援にオーナーができること

前述の通り、賃貸物件オーナーのおよそ3人に1人、30代ではおよそ2人に1人がLGBTを支援する意思を持っています。

では、不動産オーナーは具体的にどのような方法で賃貸物件を支援に繋げることができるのでしょうか。

1)LGBTフレンドリー物件に設定

賃貸物件の入居者を募集する際、オーナーは受け入れる入居者の条件を設定できます。

「女性専用アパート」や「学生専用マンション」と同じように「LGBT入居可物件」と設定することで、同性カップルの入居を歓迎する姿勢を表明することができます。

近年、賃貸物件情報サイトでも物件情報にLGBTの受け入れを記載する傾向が強まっています。

SUUMOでは、検索条件の中に「LGBTフレンドリー(LGBTを理由に入居を断らない)」の項目を追加。

そして、LIFULL HOME’Sに関しては国籍・年齢・性別など、さまざまなバックグラウンドを持つ人向けの不動産紹介サービス「FRIENDLY DOOR」を展開し、その一環としてLGBTQフレンドリーな不動産会社を検索できるページを公開しています。

オーナーがLGBTの入居を受け入れる姿勢を明確にするなら、LGBTフレンドリーな不動産会社に仲介を任せるといったアクションも有効です。

2)住宅セーフティネット制度にLGBT入居可物件として登録

住宅セーフティネット制度は、低額所得者や高齢者など、一般の賃貸物件を借りられない人の入居をサポートする制度です。

地方自治体によっては制度を利用できる対象者にLGBTが含まれているため、所有物件を住宅セーフティネットに登録することで、LGBTの入居支援が行えます。

住宅セーフティネットに登録した物件は「住宅確保要配慮者の入居を拒絶しない」という前提がありますが、入居を望まない要配慮者の条件を複数設定することも認められています。

「LGBTの入居のみ拒まない」と設定すれば、結果的にLGBTの方だけを受け入れる住戸に設定することも可能です。  

ただし、自治体によっては極端に入居可能な人を制限する条件の設定を認めない場合があります。 「LGBTのカップルのみ入居を拒まない」というように条件を狭めてしまうと、住宅セーフティネットへの登録そのものを拒否されるおそれがありますので、どこまで条件を絞れるか自治体に確認しながら設定を決めるようにしましょう。

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まとめ

近年ではLGBTに対する理解が深まり、以前よりも賃貸物件を借りやすい環境が整い始めました。 同性パートナーシップ証明を発行し、婚姻と同等の権利を認める自治体が増えているのと同時に、LGBTフレンドリーをうたう賃貸物件も増えています。

LGBTを理由に部屋を借りられないという問題が完全に消え去ったわけではありませんが、今後は若いオーナーの増加に伴い、そうした傾向は弱まっていくでしょう。

LGBTを応援する意思がある賃貸物件のオーナーは、ぜひとも積極的に支援の姿勢を表明し、LGBTの方たちが暮らしやすい社会の実現に貢献してみてはいかがでしょうか。

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監修者
徳永 光泰【株式会社ランドネット】
徳永 光泰【株式会社ランドネット】
多店舗展開の賃貸仲介・管理会社で統括マネジャーを経験!他、不動産ベンチャー企業で執行役員として創設期に携わり、大手不動産会社ではプロパティマネジメントに従事する。【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター【不動産業界歴】26年

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