雨漏りが発生!修繕費は賃貸オーナーが負担?

漏水・雨漏り

賃貸物件で雨漏りが発生したら、早急な修繕が必要になります。

特に、築年数が経過した物件などは雨漏りのリスクは高まりますが、施工不良などにより築浅物件でも雨漏りが起こる可能性はあります。

では、賃貸物件で雨漏りが起きた場合の修繕費は、オーナーが負担することになるのでしょうか。

今回は、賃貸物件における雨漏り時の修繕責任と対応方法についてご説明します。

1.賃貸物件の雨漏りの修繕責任はオーナーに

賃貸物件で雨漏りが発生した場合、その修繕費用は原則としてオーナーが負担しなければなりません。

オーナーが雨漏りの修繕を怠った場合には家賃を減額しなければならない可能性もあるため、入居者から雨漏りの連絡を受けた場合には早急に対応をしましょう。

1)賃貸オーナーには建物の修繕義務がある

賃貸物件で雨漏りが起きたら、オーナーが責任をもって修繕しなければなりません。

民法には、オーナーは賃貸物件を使用するにあたって必要となる修繕をする義務を負うことが明記されています。

ただし、入居者の故意や過失による行為で雨漏りが生じた場合は、オーナーが修繕費を負担する必要はありません。

以下の似たようなケースの場合も雨漏りと同じように起きる問題なので、併せてご覧ください。

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2)雨漏りが生じた場合は賃料を減額しなければならないことも

2020年4月1日に民法が改正され、賃借物の一部が滅失した場合には賃料の減額等が必要になることが示されました。

これを受け、日本賃貸住宅管理協会では「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を作成しています。

この減額ガイドラインでは、雨漏りによる利用制限が生じた場合は、1日あたりの賃料の減額割合を5%~50%としています。

免責日数は7日であり、減額料は日割りで計算されます。

つまり、雨漏りが発生した日から8日以上室内の利用制限があった場合には、賃料を減額しなければならないのです。

減額の割合は、オーナーと入居者の話し合いで決定することとなりますが、雨漏りによって天井や壁などにカビが発生している場合の減額割合は50%であるとしています。

雨漏りが生じれば、入居者は非常に不便な生活を強いられます。

雨漏りの報告を受けたら家賃の減額を避けるためにも、早急に修繕の手配をするようにしましょう。

2.雨漏りの報告を受けてオーナーが取るべき行動とは

賃貸物件の入居者から雨漏りの連絡を受けたら、早急に次のような対応を取りましょう。

1)現場を確認する

入居者から連絡を受けたら、まずは現場の状況を確認します。

オーナーが現場に向かえる場合は現場を訪れ、雨漏りの箇所や被害の程度を確認し状況を写真に残します。

ポイント

慌てずに冷静に現状の写真を抑えておきましょう。正確な見積もりが取れないケースがございます。

現場へ急行できない場合は入居者に依頼して、雨漏りの状態を写真で撮影してもらうようにしましょう。

2)応急処置をする

現場で雨漏りの状況を確認したら、バケツやタオルを用意し応急処置をします。

天井から雨漏りがする場合は下にバケツを置いて水をため、壁や窓などから水が漏れてくる場合にはタオルを敷きましょう。

これもオーナーが対応できない場合は、入居者に対応を依頼しなければなりません。

3)入居者に家財道具の移動をお願いする

雨漏りの場所によっては、家具や家電製品が水に濡れて被害が拡大してしまう可能性があります。

雨漏りの周辺に家財道具がある場合には、濡れる心配がない場所に移動するようにお願いをしましょう。

既に被害を受けた家財道具がある場合は、購入時期や金額を確認し、被害を受けた箇所を写真に収めるように依頼します。

4)業者を手配する

雨漏りの状況を業者に伝え、早急に修繕の依頼をしましょう。

業者が訪問する際には入居者の立ち合いが必要になるため、業者と入居者のそれぞれのスケジュールを調整し、訪問日時を決定します。

5)業者が修繕工事を行う

たまたま雨の日に水漏れが起きたために雨漏りだと思っていた場合も、雨漏りではなく、給排水管からの水漏れの可能性もあります。

まずは、業者に雨漏りの箇所を伝え、雨漏りの原因を調べてもらいます。

雨漏りなのか、水漏れなのか、またその原因によって修繕にかかる費用や工事期間も変わります。

見積もりを確認した上で修繕工事を依頼しましょう。

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3.雨漏りは火災保険の補償を受けられる?

賃貸物件が火災保険に加入している場合でも、雨漏りは補償の対象になる場合とならない場合があります。

補償対象となる雨漏りの例と補償対象外となる雨漏りの例をご紹介します。

1)台風などの自然災害による雨漏りは補償対象

台風で屋根が飛ばされたり、突風で屋根がずれてしまったりなど、自然災害が原因で生じた雨漏りは火災保険の補償対象となります。

2)経年劣化による雨漏りは補償対象外

屋根材や外壁の経年劣化によって雨漏りが生じた場合は、火災保険の補償対象とはなりません。

この場合は、オーナーが雨漏りの修繕費用を負担します。

4.雨漏りのトラブル対応も管理委託なら安心

賃貸物件の管理をオーナー自身が行っている場合は、入居者からの連絡の受け付けから現場の確認、業者の手配、火災保険の申請、工事費用の支払いまで全てオーナーが行わなければなりません。

しかし、不動産管理会社に管理を委託すれば、これらの業務は全て管理会社が行いオーナーの手間を大きく軽減できます。

管理会社に建物管理を委託すると、次のようなメリットがあります。

1)【24時間、365日】入居者からのトラブル連絡を受け付けられる

雨漏りは、いつ発生するか分かりません。 土日に発生する場合も、夜中に発生する場合もあるでしょう。 自主管理の場合は、オーナーが常に電話に出られるとは限りません。 雨漏りで困っている入居者が何度電話をしてもつながらなければ、対応に不満を抱く可能性があります。   管理会社の場合は、24時間、365日対応のコールセンターを用意しているケースがあります。 夜中や休日も問い合わせに対応できる体制は、入居者の安心感につながるでしょう。

2)現場の状況確認や業者の手配も管理会社が行う

管理会社に管理を委託すれば、オーナーが現場に向かう必要はなく、管理会社が現場を確認してオーナーに状況を報告します。 業者の手配や見積もりの取得も管理会社が行い、オーナーの指示に従って対応するためスムーズな対応が可能になります。

3)定期的なメンテナンスと計画的な修繕で雨漏りを防ぐ

アパートやマンションが雨漏りをする原因はさまざまですが、定期的にメンテナンスを行って建物の状況を点検していれば雨漏りは防げるケースもあります。

また、雨漏りがしやすい箇所は屋根やベランダ、外壁、窓枠などです。

長期修繕計画を立て、屋根やベランダの防水工事を行ったり、外壁の塗装をしたり、外壁と窓の間を埋めるコーキング剤を打ち換えたりすると雨漏りも未然に防ぐことができます。

オーナーが自主管理をされている場合は、なかなか長期修繕計画までを策定することは難しいケースもあるでしょう。

しかし、不動産管理会社であればこれまで蓄積してきたノウハウを活かし、その物件に適した修繕計画の提案ができるはずです。

建物のメンテナンスがしっかりとできていれば、雨漏りが起きるリスク自体を抑えることが可能です。

しっかりと管理された建物であれば、その他のリスクも減り、入居者の満足度も高まるでしょう。

まとめ

賃貸物件で雨漏りが発生した場合、入居者の故意・過失が原因で生じた雨漏りでない限り、オーナーには修繕義務があります。

修繕費用ももちろん、オーナーが負担しなければなりません。

また、民法の改正に伴い、8日以上雨漏りを修繕しなかった場合には、家賃を減額しなければならなくなります。

オーナーが自主管理をされている場合は、雨漏りの現場確認から業者の手配まで、全てオーナー自身が行わなければなりません。

入居者からの連絡にすぐに対応できないほか、修繕業者の手配に時間がかかってしまうようであれば、入居者の不満が増大する恐れもあり、オーナーにかかる負担は非常に大きくなります。

一方、建物管理を管理会社に委託すれば、雨漏り時の対応は全て管理会社が対応するため、オーナーにかかる手間はほとんどありません。

また、定期的なメンテナンスと修繕計画の策定により雨漏りを未然に防ぐことも可能です。

現在、自主管理をされているようであれば、管理会社への委託を検討してみてはいかがでしょうか。

建物修繕の件で特にお勧めしたい記事:【原状回復ガイドライン】オーナーと入居者の負担割合は?クロスなど部位ごとに解説も是非ご覧ください。

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監修者
徳永 光泰【株式会社ランドネット】
徳永 光泰【株式会社ランドネット】
多店舗展開の賃貸仲介・管理会社で統括マネジャーを経験!他、不動産ベンチャー企業で執行役員として創設期に携わり、大手不動産会社ではプロパティマネジメントに従事する。【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター【不動産業界歴】26年

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